2020年1月 モスローズの株姿をご紹介 [長尺苗]
姫野ばら園八ヶ岳農場です。
引き続き、現在の苗のご紹介です。前回はケンティフォリアローズでしたので、順番通り今回はケンティフォリアの派生系統である「モスローズ」を記事にしてみたいと思います。
ロサ ケンティフォリアから突然変異により生じたコモン モス(ロサ ケンティフォリア ムスコーサ)がモスローズ最初の品種とされています。蕾や花茎が細かい繊毛に覆われ、一見苔のように見えることからこの系統名が付けられました。いかにもオールドローズらしい優雅な雰囲気にあふれた品種群です。枝の性質としては、ケンティフォリアローズと同じく半つる状に自立する品種もあれば、つる状に長く枝を伸ばす品種もあります。また、この系統から徐々に庚申ばらとの交配が始まり、返り咲きを獲得した品種もあります。
各品種の詳細は、それぞれ個別のご紹介ページにございます。
株姿の写真は、「2020年1月21日撮影」のものになります。
すべての品種を一度にご紹介すると長くなってしまうので、数品種に厳選してご紹介いたします。
昨年、植え替えが少々遅れてしまったため、苗の大きさは少し小振りですが、根はよく張っており、今春より開花は十分見込めます。小振りな分、お値段はお安くしております。
つる性ばらは、なるべくお写真の通り枝の長い状態のままお送りしております。
キャプテン ジョン イングラム – Capitaine John Ingram
独特の色彩が魅力のモスローズ。栗赤色のシックな色彩と黄色のおしべの対比が美しい。細めの枝が多数立ち上がり、モスローズとしては繊細な枝振りもバランスがよく、香り、花付きともに良好。ガリカローズのように広範囲の演出に適しており、大変使いやすい品種です。
▲キャプテン ジョン イングラム
アンリ マルタン – Henri Martin
モスローズの中でも特に推奨している品種のひとつです。香り、花付きともに良く、充実した花が株一面を覆う満開時の様子は大変見事。枝質に優れており、耐寒性も抜群。寒冷地の方にもおすすめできる品種です。よく伸びる枝を活かし、ガゼボや壁面などに、あでやかな色彩がほしいときに活躍できます。意外にも実付きがよく、秋になるとオレンジ色の実も楽しめます。
▲アンリ マルタン
シャポー ド ナポレオン – Chapeau de Napoleon
独特の萼の形がナポレオンの帽子にたとえられた大変有名な品種です。少しスパイシーな香りも混ざる独特のダマスク香があります。枝数が少ないためあまり茂らず、枝を長く伸ばすタイプですので誘引して咲かせる方が美しいでしょう。実際、現在の苗も枝数は1本のみで、少々寂しい印象はありますが、開花には問題ございません。現在では腺毛の発生位置などからモスローズではなくケンティフォリアローズとして分類されることが多いですが、当園ではお庭への扱い方や演出という観点から変わらずモスローズで分類しています。
▲シャポー ド ナポレオン
ルイ ジマール – Louis gimard
基本的に枝の本数は少なめなモスローズにおいて、珍しく分岐の多い株立ちで、翳りをおびた花色も独特の美しさです。花付きは大変良く、ダマスクの香りもあり、枝は自立するので庭木としての扱いや、少し剪定してアーチへの植栽もできるかと思います。下記写真の苗は7寸鉢3年苗ですが、一回り小さめの2年生苗も在庫ございます。
▲ルイ ジマール
ジェームズ ヴィッチ – James Veitch
ロゼットの整った花型と、赤紫から青紫に褪色する、色調変化が大変美しい品種です。交配の情報ははっきりしませんが、チャイナ系の品種の影響が強く出ているようで、返り咲き性を獲得しています。秋にもそれなりの数のお花が楽しめ、また返り咲くわりには枝も細めで繊細な印象があります。返り咲き性モスローズは病気耐性に難がありますが、この品種は(病気にかからないわけではないですが)比較的耐性もあるほうです。窓辺のポイントとして、また小型のトレリス等に、香り、色調とも優れた魅力あるオールドローズです。
▲ジェームズ ヴィッチ
ジェームズ ミッチェル – James Mitchell
花は小さめながら整ったピンクのロゼット咲きが魅力。モスローズの中でも特に花付きに優れた品種で、枝一杯に咲く姿は大変見事。枝振りも繊細さが有りながら生育はたくましく、耐寒性も高いため、寒冷地の植栽にもおすすめできます。
▲ジェームズ ミッチェル