ばらを管理する上で、頻出する単語・用語について解説します。
用語集 – ア行
赤玉土(あかだまつち)
赤土をふるいに掛けて粒状にした、園芸用の万能用土です。粒の大きさによって「小粒」「中粒」「大粒」に分けられて販売されています。通気性、保水性、特に保肥性に富んでいます。また、PH調整をしない標準の状態では通常「弱酸性」です。
当園で鉢苗に使用、また販売している培養土「オリジナル培養土 赤土ベース」は「大粒」を使用しております。
一番花(いちばんか・いちばんばな)
開花する植物の中で、特に四季咲き性・返り咲き性を有する品種について、その年の1番目に咲いた花のことを指します。1番花 → 2番花 → 3番花と数えていきます。休眠期である冬に行う「剪定」及び「寒肥」は、この一番花の充実度(花形や花付きなど)を良くするためというのが理由の1つです。
一季咲きの品種は、1番花が咲いた後、2番花は咲かずそのまま成長していきます。
一季咲き(いっきざき)
一年(通常「春」)に一度だけ開花する品種の呼び方。原種やオールドローズ、つる性種ばらに多く見られる咲き方で、「四季咲き」「返り咲き」の対義語として用いられることが多いです。また、ばらにおいて、「一季咲き」と表記がある品種は例外なく「つる性」です。
原種ばらには「一季咲き」が多いことから、ばらという植物は本来「一季咲き」であり、突然変異や交配により返り咲き性を獲得していったと考えられます。遺伝学的には、「一季咲き」と「四季咲き」の2つの形質を比較した場合、「一季咲き」の方が優勢であると言われています。(メンデルの遺伝の法則)
一茎一花(いっけいいっか)
1つの花茎に対して花は1つだけという咲き方をする品種に対して呼びます。ハイブリッドティーローズに多く見られ、コンテストなどでも重宝される性質です。房咲きとは対義語のような関係にあります。
うどんこ病(うどんこびょう)
ばらにおいて、黒星病(黒点病)に次いで被害が多い病気。病原菌は糸状菌の一種、つまり「カビ」です。新芽や葉に白く粉をかけた様な症状がでます。新芽や若葉、蕾など新梢(しんしょう)の先端部分、組織が柔らかい部分で発生することが特徴です。
進行すると若葉が波打ったり、芽がよじれ奇形となってしまうなどの症状がでて、最後に落葉します。空気感染し、ひどい場合は植物全体に被害が及ぶため、深刻な生育障害を起こします。湿度と温度差がある春先や多湿が加わると発生しやすくなります。温室、路地ともに注意が必要な病気です。
栄養生長(えいようせいちょう)
根を張り、葉を展開させ、茎を伸ばすなど、栄養器官を発達させ植物としての骨格を作る生長をいいます。反対に、花芽を分化、発達させて開花、結実して子孫を残そうとする生長は「生殖生長(せいしょくせいちょう)」と呼びます。
ばらは「栄養生長」と「生殖生長」を交互に、それぞれの時期が重なりながらこれらを繰り返して育っていきます。特に四季咲きばらでは何度も「生殖生長」を起こし春以降も温度があれば開花します。一季咲きばらは、春に「生殖生長」を起こし開花した後は、「栄養生長」のみを行います。そのため、つるを長く伸ばすことができます。一方で「生殖生長」が多い品種ほど、背丈が低く枝が伸びない傾向にあります。
枝変わり(えだがわり)
何らかの原因で植物のある一部の成長点が突然変異を起こし、本来の品種とは異なった形質を持った枝が発生することを言います。親品種とは異なる花が咲いたり、木立ばらの場合は「つる化(つるばらになる)」したりします。枝変わり後の花や形質が良いものであると判断された場合は、新品種として世に発表されることもあります。
特に、四季咲き木立ばらは枝変わりを起こすとつる化することが多く、「つる○○」と親の名前を引き継いだ名前が付けられます。この場合、通常花や葉の特徴は四季咲き時のものと同じになり、四季咲き性は失われます。
オールド ローズ
「古くから栽培されているばら」の総称。一括りに呼ばれることが多いですが、あくまでも便宜上の名称で品種の性質や樹型などを表す用語では無く、非常に曖昧な言葉です。一般的には、古くからヨーロッパを中心に栽培されていた「ガリカ」「ダマスク」「アルバ」「ケンティフォリア」「モス」などの総称として使われています。
1867年作出のハイブリッドティーローズ(HT)第1号品種「ラ・フランス」以前のばらを指すとも言われますが、こちらも性質などが考慮された分類ではありません。成り立ちや性質を考慮する場合は「系統」を利用するのが適切です。対義語(つまりラ・フランス以降の品種)として「モダン ローズ」という言葉もあります。
オールド ローズは、一部の品種を除きほとんど「つるばら」として扱います。多くが「一季咲き」または「返り咲き」で、「四季咲き」のオールドローズはチャイナ/ティー系の品種、またはそれらの影響が強い品種に限られます。
大苗(おおなえ)
接ぎ木をして芽が伸びた苗「新苗」を、さらに一年間育成した苗のことを指すことが多いですが、当園ではすべて鉢苗にて生産しておりますので、春の「新苗」の時期から半年後である「秋」から「大苗」「2年生大苗」として販売しております。すべてが新しい枝である「2年生大苗」は、苗として最上級のものになります。
遅咲き(おそざき)
標準的な開花期とは少し遅れて咲く品種のことを「遅咲き」品種と呼びます。ばらにおいて、典型的な遅咲き品種は「ドロシー・パーキンス」などで、平地では6月上旬ころ、当園のような寒冷地では6月下旬から咲き始めます。原種やランブラーローズなどでこの傾向が見られます。
対義語として「早咲き(はやざき)」があり、こちらは5月上旬ころに開花する品種に対して呼びます。多くの品種で開花する、標準的な開花期は5月中頃と考えてよいでしょう。
お礼肥(おれいひ)
一般的には花が咲いた後に施す肥料のことを呼びます。開花するためにばらは多くの体力を使いますので、体力回復のための施肥は欠かせません。特に、一番花が咲き終わった6月ころに施すものはシュートの発生を促す上でも大変重要です。
お礼肥は開花後にすると思われがちですが、肥料は置いてから効果がでるまで時間がかかるので、実際には開花中(満開時)に与える方が効果的です。