当ばら農場では約30系統、1000品種の苗木を鉢仕立てにて、生産致しております。目的の品種の系統がおわかりの方は、系統のバナーをクリックしていただきますと、系統ごとの取扱品種の一覧、解説ページへお進み頂けます。
品種名による検索も可能です。うまく検索できない場合は品種名の一部のみで、再度検索してみて下さい。
原種・原種系交雑種
ばらの自生種で北半球にのみに生息しています。一重咲きの品種が多く、園芸種にはないシンプルな美しさがあります。枝は少々扱いにくい点があるものの、自生種ならではの力強さがあります。庚申ばら系であれば四季咲き性を有しているものもあり、ばらの歴史の始まりが垣間みえます。
一般的に「ハナマス(ハマナシ)」の名で伝わっている系統群で、原種の「ロサ・ルゴサ」が関わる交雑をしています。自生種は東北に多く見られることから分かる通り、耐寒性に優れ、また黒星病などの病気にも強い耐性を持っています。枝にトゲが多数あり、多くは自立型の樹形。
ヨーロッパに分布する「ロサ・スピノシシマ」を交配親にした系統。品種数は少ないですが、ステムが短く細かい刺があり、葉は小さく枝も細い(例外有り)などの特徴があります。シュラブ樹形になるものがほとんどなので、自然樹形での管理も面白いでしょう。
西アジアに自生する黄色の花の原種「ロサ・フェティダ」に深く関連する品種群です。今では当たり前の黄色の花は、この系統の品種から受け継いでいます。「ペルネシアナ系」とも呼ばれます。病気や湿気等の耐性はありませんが、純黄色の原種として貴重な品種たちです。
「ロサ・エグランテリア」を交配親とする品種群。品種数は少なく、花は一重咲きのものがほとんどでバリエーションが少ないのですが、葉に青りんごのような香りがあるという他の系統にはない特殊な性質を持っています。細枝で比較的早咲きです。
オールドローズ
オールドローズの中で最も古い系統。「燃えるように赤いばら」との記録が残る赤ばらの祖としても重要な系統。ソフトピンクや絞り咲きの品種も見られます。すべて一季咲き、枝がしなやかで花付きや香りがよいため、庭園素材として最も優れている系統のひとつです。
ガリカ・ローズと対をなす存在、こちらは白ばらの祖として重要な系統。欧州や西アジアに分布する原種ばらの自然交雑により生じたとされています。美しい青みを帯びた葉や透明感のある花色、そして清涼感あるふれる芳香が特徴。清楚感を出したいときに。
「ダマスク香」の名前で有名。ダマスクの名はシリアの首都ダマスカスにちなむとされています。白~淡いピンクの花がメイン。その香りが評価されブルガリアや南フランスなどでは香料としても利用されています。庚申ばらとの交配により新系統を誕生させています。
系統名は「100枚の花びら(または葉)」の意。「キャベッジローズ」の名も生まれ、肖像画でマリー アントワネットが手にしているばらもこの品種といわれています。オールドローズらしいエレガントな花容と芳香に恵まれています。重ね多い花でカップ咲きの品種も多い。
ロサ・ケンティフォリアから突然変異により生じた系統。蕾や花に分泌液を出す繊毛があり、また枝にも多くのトゲで覆われている姿には圧倒されます。いかにもオールドローズらしい優雅な雰囲気にあふれた品種群です。一部にダマスクローズ起源の品種も存在します。
品種数が少なく系統として認めない考え方もありますが、庚申ばらの影響を色濃く残し、比較的初期の交配種として興味深いと思います。赤みを帯びた枝や葉の繊細さが美しく、多くは早咲きでトゲも少ないか全くないので誘引も容易です。
諸説ありますが、西洋のばらと庚申ばらとの交配で誕生した系統とされています。病害虫には特に注意が必要な、お姫様のような系統ですが、それぞれに大変魅力的で根強い愛好家を持つ系統でもあります。ブルボンローズより返り咲く品種が多く見受けられます。
つる性としての性質が強いため返り咲きは少なめですが、カップ状であったりロゼット状であったりと優雅で魅力的な花容を持つ品種が多い。家庭用つるばらとしての実用性にも大いに注目されます。一部四季咲き品種もあることから、その起源にも興味が湧きます。
20世紀に入ってから確立された系統。成り立ちがはっきりしませんが、多くは安定した返り咲き性を有し、秋まで咲き続けるものもあり、家庭用のつるばらとしても高い人気を誇ります。また、耐寒性にも優れているので寒冷地向けつるばらとしておすすめ。
例外もありますが多くの品種が返り咲き性に優れ、優雅な色彩と繊細な花容を持ち、家庭用のつるばらとして現在も人気の高い系統です。特にアーチなどに適正を持つ品種が多いです。黄色系の品種は、寒冷地では防寒対策が必要と思われます。
オールドローズとしては最後の系統となります。大輪で強健な四季咲きばらを生み出すべく誕生しましたが、まだつる性です。パーペチュアル(四季咲き)というほどの返り咲きは得られなかったものの、魅力的な花容や芳香に、当時の人々の注目も集まりました。
典型的なつるばら
いわゆるもっともつるばららしい系統。もとからつるとして作出されたものと、四季咲き品種からの枝変わりによって誕生した品種の2つがあります。昔は一季咲きが中心でしたが近年の品種は返り咲きするものが多くなっています。品種も性質も多様でバリエーションに富んでいます。
起源となった原種ばらによって性質は少しずつ異なりますが、交配親である原種からの影響で小輪房咲き、一部の例外はありますが春のみの開花で伸長力強く、枝がしなやかで花付きが大変良いのが特徴です。壁面等広いスペースを覆いたいときに活躍します。
他のどの系統にも属せないつる性の品種をまとめて「シュラブ」として扱います。そのため、その性質も様々で一季咲きのものから繰り返し咲くものまで、花の色も白から黄色、バイカラーのものもあります。当園では取り扱いはありませんがイングリッシュローズも含まれます。
四季咲き木立ばら
中国原産の品種群。その中に四季咲き性を有していた品種が見つかり、ばらの世界に大きく貢献した系統。「四季咲きの祖」とも言える重要な系統です。花色は淡いピンクから濃い赤まで様々で、香りの強弱にも幅があります。つる性のものも一部あります。
日本の野ばらの特徴であった「房咲き性」を四季咲き品種へと転用した系統。色幅や花型の変化が少ないですが、多くは耐寒性に優れており、ころんとした小さめの花が房になってたくさん咲く姿は圧巻。品種によっては大型の株になることもあります。
ハイブリッドパーペチュアルとティーの交配で誕生した系統。人々が追い求めてきた交配によって作られた強健な完全四季咲き大輪ばらで、多くの育種家が今もなお情熱を持って作出している、ばらの中で最も熱い系統です。色や花型、香り、樹形など様々あります。
ポリアンサでは花色や花型の幅がなかったため、中輪房咲きでバリエーション豊かな品種がほしいということになり誕生した系統。耐寒性もいくらか受け継ぎ、かつ房咲きで中輪種が多い。株姿がまとまりやすいため、花壇等小スペースの植栽におすすめです。
ハイブリッドティーとフロリバンダの交配により誕生した系統。両系統の長所を受け継ぎ、多くは大輪で樹勢が強く、房になって咲きます。ただ、最近はハイブリッドティーとの判別ができなくなってきたのでこの系統を認めていない国も多い。