ポールズ ヒマラヤン ムスク ランブラー – ランブラー屈指の花付き、はらはらと散る姿は桜のよう
本日ご紹介する品種は、ランブラーローズの代表格の1つ「ポールズ ヒマラヤン ムスク ランブラー」です。
ランブラーローズを代表する品種の1つで昔から愛されてきた名花です。
起源となった原種は「Rosa brunonii(ロサ・ブルノニー)」です。ハイブリッド・ムスク・ローズの起源の1つとなっていると考えられている「ロサ・モスカータ」と関連が深い品種のようで、別名として「Rosa moschata nepalensis(ロサ・モスカータ・ネパレンシス)」という名前もあります。
ロサ・ブルノニーは「ミャンマー」「中国西南部」が原産地で、「ヒマラヤン・ムスク・ローズ」という名前も持っています。
この原種が起源となって、1916年にイギリスの「George Paul」によって作出された品種が「ポールズ ヒマラヤン ムスク ランブラー」です。そのまま、Paul氏のヒマラヤン・ムスク・ローズという意味かと思われます。「ポールズ ヒマラヤン ムスク」と最後のランブラーの記述がない場合も多いですが、略称であり指している品種は同じです。
「ポールズ ヒマラヤン ムスク ランブラー」は非常に旺盛な樹勢を持ち、斜め横にサイドシュートをたくさん出して急激に成長します。透き通るような淡いピンクから白に移ろう花、花付きはランブラーローズの中でも屈指の多さで、満開時は見事な景観を創りだしてくれます。透き通るような色調と桜のようにひらひらと散る姿は日本人の心に響くもの多く、一見の価値があります。
一季咲きで少し遅咲きですが、全体的に遅咲き傾向にあるランブラーローズから見れば比較的早く開花します。爽やかな芳香がほんのり漂います。耐寒性も強い方です。
風景を作り出す能力には大変優れた品種ですが、欠点としてトゲが多くサイドシュートを多く出しますので誘引作業には大変苦労すること、黒星病への耐性が弱いことなどがあげられるでしょうか。広い場所への植栽がもちろん望ましく、枝はしなやかで曲げやすいので、ケガをしないよう厚手の手袋を用意して誘引に挑みたいものです。
この品種への評価は賛否両論あるでしょうか。桜好きな日本人には少し見慣れすぎた感じがあるのかもしれません。花持ちもあまり良くはなく、そんなところも桜の花に似ています。もう少し葉の質が強ければ、さらに良かったのかなと思うこともあります。でもばら農場を運営する身としては、この品種が咲かない春をイメージすることができません。どのような誘引をしても花付きが衰えることはないので、満開時の姿を思い浮かべながら枝を割り振ってみてください。そうすれば必ず「ポールズ ヒマラヤン ムスク ランブラー」はその努力を評価してくれるでしょう。