品種選択のすすめ – 当園おすすめの品種
当園は歴史的品種の保存にも努めておりますが、庭造りの素材として優れた品種も多く取り扱っております。
しかし、数が多すぎて良くわからないといったお問い合わせも多く頂きます。
そこで、「ばらを初めて育ててみたい」「つる性のばらを初めて誘引してみたい」といったお客様に、まずは触れていただきたい、扱いやすくて失敗の少ないおすすめの品種をご紹介いたします。
それぞれ、大まかな用途別にお勧め品種たちをご紹介します。
小型のアーチやフェンス、ガゼボ等にあまり急激に伸びないつるばらを誘引したい場合は「オールドローズ」、もっと大型のアーチやパーゴラ、壁面など広いスペースを覆いたいほど伸ばしたい場合は「典型的なつるばら」、年中開花して足元を常に彩りたいという場合は「四季咲き木立ばら」を選択して下さい。
つるばらと四季咲き木立ばらの性質の違い
ばら(薔薇)の成長形態は、大別すると「つる(蔓)」と「四季咲き木立」の2つに分けられます。
近年では春以降も繰り返し開花するつる性ばらも存在するようになり、つる性ばらと四季咲き木立ばらの境界が曖昧になってきていますが、それでもこの2つの成長形態には明確な違いが存在します。
特にお庭への活用を考えるときには、この2つの性質の違いを知っておかないと、思っていたような成長や開花をしないために折角のお庭に違和感を生んでしまったり、また管理面においても余計な労力を必要としてしまいます。
枝の伸び方、しなやかさ、開花位置や季節特性など多くの面で異なっています。剪定や誘引の作業も、それぞれの成長特性に合わせて行なう必要があり、また基準となるものも異なります。ここを勘違いしてしまうと、折角の風景が不自然になりやすく効果的な演出が難しくなります。
そこで、「つる性ばら」と「四季咲き木立性ばら」の性質の違いと種類について、それぞれ記事にいたしました。特に冬の剪定・誘引作業について、どのように枝を使えばよいのか、どの部分の枝を切り、どのように整理すればよいのか。その基準がより明確になり、管理の手間や悩みも少なくなるでしょう。
ばらを育て、お庭を彩るときに最も参考となる指標のひとつが「つる性」なのか「四季咲き木立性」なのか、ともいえます。この機会にぜひ覚えておきましょう。
「四季咲き木立性ばら」の最大の特徴は、一定の気温があれば年間を通して必ず開花する性質を持っていることです。開花することにより枝の伸張はその都度ストップするため、枝の伸びが遅くなり木立状になります。枝の充実と開花のバランスをとるため、摘蕾や剪定作業が必要になります。
「つる性ばら」は、開花の頻度が年に一度、または不定期になるために枝が伸張する特徴があります。開花は主に枝先を中心にして起こるため、この枝先を如何にして上手に扱うかがポイントとなります。このため、枝の剪定は最低限に留めることが多く、枝の伸び方やしなやかさなどを重点的に考えます。
樹形図再考 2番~8番について
当ばら園の特徴でもあるこの樹形図。
2008年秋のカタログにて、ご紹介させていただいたのが初めてでした。(当時は村田ばら園八ヶ岳農場でした。)
前代表であった村田晴夫が考案したものですが、各品種を12の樹形図に割りふるのは非常に困難な作業でもありました。
樹形図は、特にベイサルシュートの伸びる方向や強度、湾曲を始める高さまなどを考慮し、お庭へ活かに当たって「どのような場所に適性を持つか」を植栽前に予測できるように考案しております。品種選択のご参考としていただいたり、樹形に関する理解の一助となりましたら、大変幸いに存じます。
※こちらは姫野ばら園のカタログに記載した内容をそのまま載せております。
サカタのタネ 園芸通信「バラに歴史あり」原文コラム
サカタのタネ様「園芸通信」誌上にて、「バラに歴史あり」の標題で2013年1月号から12月号までの1年間、連載を受け持たせていただきました。そしてこのたびサカタのタネ様のご快諾により、当方のサイト上での掲載が可能となりました。
誌面では文字数の制限があるため適宜編集していただきましたが、サイト上では文字数の制限を受けないため、この機会をお借りし原文もしくは一部加筆訂正した文章にて、掲載させていただきます。