ミセス サム マグレディ – マグレディ三世の奥さんへ捧げた初期朱色のHT種
今回ご紹介させていただきます品種は独特のオレンジ色の初期ハイブリッドティー種「ミセス サム マグレディ」です。(当園ではつる性のものも取り扱いがございます。)
作出年は1929年と古い品種ですが、すでにこの色のばらが当時出回っていたということには驚きです。1920年にペルネ-デュッシュが初のハイブリッドティー黄色ばら「スブニール ド クロージュペルネ」を作出していましたが、10年足らずで朱色の花を作り出すマグレディ三世(Samuel Davidson McGredy III)の手腕には敬服せざるを得ません。
日本では枝変わりである「つる性」の「つる ミセス サム マグレディ」が多く出回っておりますが、当園では元のハイブリッドティー種である四季咲きの「ミセス サム マグレディ」も保有しております。(つる ミセス サム マグレディも保有しております。)
半剣弁高芯咲きで、細枝に垂れ下がる花が繊細なイメージを与え大変魅力的。枝は赤味を帯びており、一層夕日色の花を引き立てます。ティーローズの面影が強く残っているのは初期ハイブリッドティー種の特徴です。香りはティー香になります。ただ、枝のトゲは少し多めです。
現在の花弁も樹もしっかりしたばらとは正反対で、細く繊細でうつむき加減になびく風情のある品種です。こういった特徴を持った品種は現在のばらにはあまり見られず、古い初期ハイブリッドティー種が持つ特権といえるでしょう。がっしりとした丈夫で育てやすい品種も良いですが、自然に風景に溶け込むような品種も捨てがたいものです。当園ではこの点に注目した古い品種を多く取り揃えております。
「ミセス サム マグレディ」という名前の由来ですが、マグレディ三世の奥さんの名前からとっています。また、マグレディ三世は他にも「マーガレット マグレディ」「マグレディス イエロー」など意欲作を多く作出し、後のばらの世界に大きく貢献しています。
四季咲き性の「ミセス サム マグレディ」は現在希少なものとなっています。古い品種特有の魅力というものがありますので、気になった方は気軽にお問い合わせください。