品種・苗のご紹介

アイスバーグ - フロリバンダ最高傑作、完成された白の名花

アイスバーグ – フロリバンダ最高傑作、完成された白の名花

今回ご紹介する品種は「アイスバーグ」です。ばら好きなお方ならば一度は聞いたことがあるでしょう。フロリバンダ種最高傑作のひとつで今もなお人気の高い白の名花です。

アイスバーグ のページ

「アイスバーグ」は「氷山」という意味を持っていますが、別名もあり「シュネーヴィッチェン(Schneewittchen)」とも呼ばれています。こちらは「白雪姫」という意味です。第6回の世界ばら会議にて殿堂入りを果たしています。

2つの花名はかなり意味が異なりますが、不思議とどちらも相応しい名前に思えます。雪がつもったように株いっぱいに咲き、その花付きの良さはフロリバンダ種トップクラスです。春から初冬にかけて連続して開花します。気温が低い時期では花に少し赤みが混じるようです。細めの枝がたおやかに伸び、花首は俯くのですが、風になびくその風情が大変美しい。強くはありませんが「ティ系」の香りがあります。1つ1つの花の香りは薄いですが、たくさん咲いてくれるので甘い香りが周囲に漂います。

交配は「ロビンフッド × ヴィルゴ」という興味深い品種が使われています。

「ロビンフッド」はハイブリッドムスクローズでローズ赤の半八重咲きの「つるばら」です。片親の「ヴィルゴ」はハイブリッドティーローズの白の名花で、四季咲き性と花色はこちらから受け継いだようです。

ロビンフッド

ヴィルゴ

作出者はドイツの大育種家「Reimer Kordes」です。「コルデス パーフェクタ」をはじめ、フロリバンダの「カフェ」、ミニチュアの「ロズマリン」、つるばらの「アンジェラ」と他系統に渡り独創的な品種を世に出してきた偉大な育種家です。

アイスバーグの花付きの良さや房咲き性はロビンフッドから来ているようです。また、少し赤みがでたり、枝変わりとして近年「ブリリアント・ピンク・アイスバーグ」や「バーガンディ・アイスバーグ」などが発表されていますが、これらも恐らく先祖返りしたものでしょう。比較的白の安定性が高く枝変わりを長らく起こさなかったアイスバーグが、近年枝変わりを多く出し始めている点に注目が集まります。

アイスバーグが名花たる所以は花付きだけではありません。トゲが少ない枝、半光沢の素晴らしい葉を持ち、白のひらひらした花との相性も抜群によい点も見逃せません。どのようなお庭のシチュエーションにも柔軟に対応でき、その素晴らしい花を十二分に発揮できます。

数あるばらの中でも、樹も含めてふんわりとまとまる品種は意外と少なく、アイスバーグ特有の株姿といえます。

まだまだあります。ロビンフッド譲りの育ちの良さも評価ポイントです。バランス良く枝を伸ばし、樹勢も良く安心して育てられる丈夫さを持っています。通常のフロリバンダ種と同様に黒星病などには注意が必要ですが、植物としての再生能力に長けており、黒星病などで葉を落としても根や樹が健康であればすぐに葉を出して再生する力強さもアイスバーグの特徴です。

まれに強いシュートを伸ばすことがあるのもロビンフッドの血筋からでしょう。この強いシュートをあえて強く剪定せずに弱剪定にて管理することで、2mほど枝を伸ばしてアーチにも利用させることが可能になります。アイスバーグであれば花付きは落ちないので完全四季咲き性のアーチを完成させることができます。「アーチ = つるばら」と固執せずに柔軟な使い方を考えてみてください。ハイブリッドティーのような枝の硬い品種では難しいですが、アイスバーグのような細枝でふんわりとした樹の、花付きがよい品種(他には「グルス アン テプリッツ」など)であればアーチ仕立ても可能です。完全四季咲き品種を利用したアーチは頂上部分に達しても垂直にサイドシュートを出すことがないので見栄えもよくなる利点があります。

つる性種の枝変わりもあり「つる アイスバーグ」と呼ばれています。こちらもトゲが少なく扱いやすい名花であらゆる場所に対応できる、「つる サマースノー」と並んで白のつるばら名花の双璧をなしています。

素晴らしいポイントを挙げていけばきりがないほどの名花中の名花が「アイスバーグ」です。この品種をまだ知らないというお客様がいらっしゃいましたら、ぜひその可憐さを味わっていただけましたら幸いです。

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