2020年2月 ポートランドローズの株姿をご紹介 [長尺苗]
姫野ばら園八ヶ岳農場です。
今回は再度オールドローズへ戻って「ポートランド」をご紹介したいと思います。
ポートランドローズは、それまで知られていた西洋のばらと、新しく入ってきた東洋のばら(庚申ばら/ロサ・キネンシス)が交配されて出来上がった最初の系統とされてきました。実際、ブルボンローズより返り咲く品種が多く見受けられます。しかし、最近の研究ではポートランドローズの返り咲き性は庚申ばら由来のものではないという研究結果も出ています。確かに枝葉には庚申ばらの雰囲気はあまり感じられませんが、かといってまったく無関係とも思えません。興味の尽きないところです。病害虫には特に注意が必要な、お姫様のような系統ですが、それぞれに大変魅力的で根強い愛好家を持つ系統でもあります。
各品種の詳細は、それぞれ個別のご紹介ページにございます。
株姿の写真は、「2020年2月21日撮影」のものになります。
すべての品種を一度にご紹介すると長くなってしまうので、数品種に厳選してご紹介いたします。
つる性ばらは、なるべくお写真の通り枝の長い状態のままお送りしております。
コント ド シャンボール – Comte de Chambord
ポートランドローズを代表する人気品種です。オールドローズらしい大らかな花容に、ダマスクの大変豊かな香りがあります。枝葉はブルボンローズよりもケンティフォリアなどの前期オールドローズ風で、半つる状に伸びますのでトレリスなどに誘引しても面白く、株が充実してくれば秋にも返り咲きます。
▲コント ド シャンボール
シドニー – Sidonie
美しく整った花型と、高い香りを併せ持つ品種です。返り咲きがありますが、この系統の中でも最も伸長する品種のひとつで、大きめのアーチやオベリスクへの植栽にも使用できます。整った花が房になって、重たげに咲く様子が見事です。ポートランドローズなので病気については注意が必要ですが、枝は丈夫なようで耐寒力は高い方です。
▲シドニー
ローズ ド ロワ – Rose de Roi
1812年に作出されたとされる、初期のポートランドローズのひとつです。ローズ赤の深い花色が魅力的で、中心に黄色のおしべがのぞくこともあります。ガリカローズの「ロサ ガリカ オフィキナリス」との交配とされており、その影響か枝葉の雰囲気はどちらというとガリカローズに近く、細くしだれ気味の枝ぶりです。返り咲きも比較的多めです。
▲ローズ ド ロワ
デュセス ド ローアン – Duchesse de Rohan
交配ははっきりしていませんが、ダマスクローズを起源とした初期のポートランドローズ(Damask Perpetual)とされています。優雅に渦巻く花弁が魅力で、ラベンダーピンクの色調が美しく、濃厚なダマスク香も楽しめます。枝葉も古風であり、ダマスクローズの面影が見られます。返り咲きは少なようですが、その分伸長するためトレリスや窓辺のポイントに好適です。
▲デュセス ド ローアン
セリーナ デュポ – Celina Dubos
「Capitaine Rénard」の枝変わりで、さらに親品種は「Rose de Roi」。ということで、一般的には「ローズ ド ロワ(Rose de Roi)」の白花種(別名:ローズ ド ロワ ア フルール ブランシェ)として紹介されます。中心にほんのりかかる淡いピンクはまさに真珠のような美しさ。充実した株になると花弁数も増えるようです。枝葉の雰囲気はやはりガリカローズに近く、細くしだれ気味の枝ぶりは優雅で、自然樹形のほかトレリスなどに誘引しても美しい。
▲セリーナ デュポ