園主の小部屋

ニッコウキスゲ

小さな いのち

各地で梅雨明けの発表がされ、暑さも本格的になってまいりました。

ばらたちは意外に暑さに強いですが、水を好む植物ですので、猛暑が続くときは地植えであっても灌水が欲しいところです。また、肥料の分解も早くなりますので、順調に根の張っている苗でしたら、こまめな施肥があると尚良いでしょう。(夏場は肥料を与えてはいけないと思われている方もいらっしゃいますが、適量であれば問題はありません。)

6月下旬から7月にかけて、私の自宅付近や農場ではホタルやオオムラサキなど、この季節にしか見られない、小さな美しい生き物を見ることができます。 オオムラサキの雄はとても美しく、飛翔が早く「あっ」と思う頃にはもう飛び去っていってしまいます。あまり羽をパタパタさせず、とても優雅に、なめらかに滑空します。1年だけの命を懸命に輝かせ、産卵が終わる8月には力尽きてしまいます。

ホタルは、以前は農場付近でももっとたくさん見られたのですが、最近は本当に少なくなってしまいました。闇夜に浮かぶ輝きはやはり幻想的で、毎年見ていても飽きることがありません。巣立ったばかりのモズやコムクドリのヒナたちも、まだ家族で暮らしていることが多くとても賑やかです。


ばらの育苗作業では消毒がかかせません。それでもいろいろな生き物たちが、少なくなってしまったとはいえ、懸命に命をつないでいる様子を目の当たりにしますと、ただ愛おしさがつのります。 ばらの中でも一部の原種やハマナスの仲間には、消毒なしでも成長できる品種がありますから、そのような品種たちに活躍してもらって、多くの生き物が集う植栽ができればまた楽しいことだろうと夢見ております。

一方で2年生苗たちも順調に育っております。暑い中での作業はいろいろな面でこたえますが、丹精込めて仕立てる楽しさもまた、ばらづくりの喜びと思えます。

ニッコウキスゲ
▲霧ヶ峰 ニッコウキスゲ群生地

ニッコウキスゲと野鳥
▲ニッコウキスゲ と ホオアカ(鳥)

すごく久しぶりに霧ヶ峰高原まで足を伸ばしました。当農場から車で約1時間です。昔はもっと群生していて、まさに黄色の絨毯のようであったとか。私がかつて訪ねたとき(15年ほど前)もまだ、その面影は残っていました。その後鹿の食害、盗掘などによりとても減ってしまったニッコウキスゲ。電気柵はものものしいですが、地元や有志の方々の懸命の努力により、植生の回復が試みられています。

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