月別アーカイブ: 2015年4月

ハウス内の早咲きの原種が咲き始めました

当園は八ヶ岳山麓、非常に寒い場所に位置しているため、外で管理しているバラたちははまだまだ芽吹き始めたばかりです。

しかし、昨年の冬からハウス内で管理していた早咲きの原種たちは少し開花してきました。接ぎ木に利用する親木たちが開花しています。少しご紹介してみたいと思います。

さくらいばら

▲「さくらいばら(カイドウバラ/ロサ ウチヤマナ)」です。名前の通りさくらのようで綺麗ですね。木は大変大きくなりますので、自然樹形で育てるのが最も合理的でしょう。秋になると実を付けます。

キモッコウ

▲早咲きの原種で大変有名な「黄木香ばら」の八重咲きです。挿し木でも容易に増え、病害虫への耐性も強い、日本では最もメジャーなバラの1つです。ステムがバラの中で最も短く、伸長力旺盛でとても大きくなるので広い場所への植栽が適切です。

ロサ・ウッドシーウェンドレリー

▲少し開いてしまったため色が薄くなってしまいましたが「ロサ ウッドシー フェンドレリー」という原種です。病害虫の被害もなく、原種の中では枝も扱いやすい方でおすすめです。青みを帯びた葉も観賞価値の高いものです。秋になるとこちらも実を付けます。

一重咲き白木香

▲珍しい「一重咲き」の白モッコウバラ、「ロサ・バンクシア・ノルマリス」です。木香バラの野生種はこちらで、八重咲きの方は園芸種だと言われています。同様にドゲがなく、白であれば芳香もあります。

これからどんどん開花してくるとハウス内も賑やかになりそうです。

明治時代から愛されている、ローズ赤の名花 – 「グルス アン テプリッツ」

グルス アン テプリッツ

今回は久しぶりに四季咲きの品種のご紹介です。

「日光」という和名で明治時代から愛された「グルス・アン・テプリッツ」です。

○品種解説ページ: グルス アン テプリッツ – Gruss an Teplitz

俯いて咲くローズ赤の花からは、清々しい芳香が漂います。

作出者はハンガリーのゲシュヴィント。寒さの厳しい東欧でも丈夫に育つ品種を作出した
育種家としてその業績が高く評価されています。「グルス・アン・テプリッツ」(テプリッツへの挨拶)は彼の故郷への思いが偲ばれる命名で、テプリッツは古くから知られた温泉地でもあり、ベートーヴェンとゲーテが出会った場所としても有名です。

一般的にはチャイナ・ローズに分類されていますが、ブルボン・ローズとして紹介されることもあります。

この品種の素晴らしさは、すぐには理解し難いかもしれません。
花は大輪ではないし、俯いて咲くので少しさみしい感じもします。

しかし連続開花性に優れ、青みを帯びた葉、柔らかさのある花茎、優雅な蕾の佇まいなど芳香以外の美点も多く、株の姿も美しくまとまります。大株にしてあふれるように咲く姿は、それは見事なものです。鉢植えでももちろん楽しめ、また剪定を軽くすると2mくらい伸ばせますので家庭用のアーチやちょっとしたトレリスなどにも好適です。

芳香はダマスクを基調としていますがレモンのような爽やかさも感じられ、大変清涼感のあるものです。

個人的には青みを帯びた葉の美しさとやわらかく風にそよぐ花茎の美しさに特に惹かれます。晩秋はローズ赤の色彩に深みが出て一層秀麗です。宮沢賢治が愛したばらとしても有名ですが、もう本当に、それにふさわしい名花と思います。他のチャイナローズと同じくうどんこや黒星病には注意が必要ですが、今後もずっと語り継がれる名花の一つと思われます。

数学の話

ばらとは直接関係のない話で申し訳ございません。
今回は私の大学時代、数学の講義での思い出です。もしもし、よろしければお付き合い下さい。

私の両親は父が物理、母が化学を修めておりましたので、いわば完全に理系の人たちでした。特に母は実際に、数学の講師でもありました。

だけど私は理系のお勉強はなにか難しくて苦手というイメージがあり、真剣に勉強したのは高校受験の時くらい。特に高校に入学してからは美術系の学部志望ということもあり、また学業のレベルも高校の内容は中学よりずっと難しいですからどんどんおざなりに…

その中でも微分や積分、ベクトルなどはまだ理解しやすく割合に好きな分野でした。

大学に入ってから、一般教養の科目の中で「数学」を履修できることを知り、高校生の時おざなりにしてしまった後悔も少しあって、講義を受けてみることにしました。

ところが…です!

先生が語られた数学はこれまでに教わったものとは全く異なるものでした。
出てくる言葉は「宇宙」「N次元」「N乗」「位相」…

具体的な数字は何一つ出てきません。いったい今までの数学はどこへいってしまったのでしょうか??
先生のお話はどんどん哲学的になり、もはや理解の範囲を超え、ぽかーんと聞いていることしかできない私でした。それでも先生が「数学」という手段を使ってこの深遠なる宇宙のなりたちの解明に挑まれていることに、とても喜びを感じておられるのだということだけは、理解ができました。

広大すぎる宇宙の前にはあまりにも小さなわたしたちですが、その思考はどこまでも深く、また限界もないのですね。そのことを何か、この講義から教わった気が致しました。

とはいえ、最後に私がどのようなレポートを提出したのか全く覚えていません…
あの理解の出来なさではレポートとしての体をなしていないことは明白でしたが、先生が付けて下さった評価は「優」

本来は「優」であるはずなどありえませんが、先生はきっと「休まず講義にでてくれてありがとう。宇宙はこんなに広大で、挑戦の余地がある。瑣末なことにとらわれず、自分の選んだ喜びに心血を注いで、歩んでいってほしい。」とエールを送ってくださったのではないかと思っています。

あの時垣間見た数学の不思議な世界。

ばらの育成や日々の雑事に追われる中でもふと思い出しては、この世界の、そして自分の心の広がりと可能性に思いを馳せ、必ず限界という壁を溶かしてゆけることを信じてまた歩みたい…。そんな優しい希望と感謝を新たにさせて頂いております。


▲青空に映える辛夷の花

今年は花つきがとても良いみたいです。他の木々が芽吹く前に、さみしい風景を癒やすかのように、ふっくらと優しい希望を運んでくれます。


▲富士見町葛窪地区の湧き水の流れ

尽きることなく湧き出る清澄な流れ。田畑を潤す命の水として、大切にされています。

座禅草と福寿草

福寿草

こちらのページは園主が日々思ったことを気ままに綴っているカテゴリです。
ばらとは関係のない話が中心ですが、よろしければお付き合い下さい。
週一回くらいの更新を自己目標と致しております。

久しぶりに自然に咲く、季節の花を鑑賞する機会を頂きました。
まわりの状況がどのように変化しようとも、季節の移り変わりがもたらす恵みは不変ですね。私の出身地(奈良県)には自生のない花ばかりなので大感激です。

座禅草
▲たけのこのようにたくさん出始めた座禅草。

座禅草2
▲ぽっと灯ったあかりのような花の部分。実際には悪臭があるとのことなのですが見た目は地味ながらも可愛らしい感じです。

福寿草2
▲自生の福寿草。たんぽぽのようにたくさん群生していてとても見事でした。春の日だまりそのもののような、明るい希望に満ちた花です。

新年度が始まりました。

新しい土地や職場で新たな出発をなさった方もいらっしゃることでしょう。
変化はときに大きな傷みや恐れをもたらすものですが、変化を受け入れ対応してゆくことで、また違った自分に出会うことができます。すべてが良き学びの機会であることを信じて、人生に途切れることなく現われる、未踏の山への挑戦を続けてゆきたいと思います。

剪定に続き施肥、除草、そして一番大変な消毒作業もまた再びと、ばらたちの手入れもとても、忙しくなってまいりました。

暖かくなると虫たちも大活躍し始めますので…! 

一瞬たりとも気が抜けませんが、今年もまた、美しい花に出会えることにわくわくしながら過ごせるこの時期は、やはり一年の中でも一番活気に満ちた季節です。

ねこ

枝ぶりも扱いやすい耐寒性抜群の白つるバラ – 「シティー オブ ヨーク」

2015年春カタログ

本日ご紹介する品種は、耐寒性抜群の白つるバラ「シティー オブ ヨーク」です。

○品種解説ページ: シティー オブ ヨーク – City of York

上記写真では上部アーチ部分に「バフ ビューティー」が写っておりますが、今回はその後ろの白い品種についてお話いたします。

ヨーク市はイングランド北部のノース・ヨークシャー州の都市であり、ヨーク大聖堂をはじめ中世の町並みが良好な状態で保存された、大変美しい観光地としても知られています。
アメリカのペンシルベニア州にも同名の都市があり、薔薇戦争で知られるヨーク家の紋章にちなんで「ホワイトローズ・シティ」と呼ばれることもあります。

ばらの「シティ・オブ・ヨーク」も大変に美しい白ばらで、半八重のシンプルな花容に黄色い大きなおしべがひときわチャーミングです。一度に大量に咲く咲き方はしませんが次々と咲かせ、時に秋にも返り咲きます。
葉も光沢のある深緑で美しく、開花がない時期にも楽しめます。

ドロシーパーキンスの血をひいていることもあり、枝は匍匐するように長く伸び伸長力は旺盛です。刺も普通にありますので狭い場所には不向きといえます。
横張りの性質を生かして低いフェンスや、枝を上にあげて窓まわりなどに誘引すると非常に見事です。旺盛に伸びますが、枝ぶりは素直で途中の分岐があまりないため、誘引はしやすいほうだと思います。幅の広いフェンスなどがあればぜひ植栽を考えてみてください。

黒星病にかかることもありますが耐病性も高い方ですし、耐寒性にも優れています。
寒さにも強く、一例では標高1300mくらいの寒冷な土地でも大きく茂っていました。(ちなみに当農場は標高約1000mです。)

白つるばらの代表ともいえる「つるサマースノー」「つるアイスバーグ」「アルベリックバルビエ」の3品種はそれぞれ素晴らしい植栽効果をもっていますが、「シティ・オブ・ヨーク」も、けして負けてはいません。

強いて言えばシンプルな花容ながら中輪くらいのサイズがあるので、混植する品種はジプシーボーイなど、同様にあまり花弁数の多すぎない品種が適しているでしょうか。また、花弁の少ない品種は上を向いて咲く性質があるため、パーゴラなど下から見上げて鑑賞する構造物にはやや不向きかもしれません。

ヨーク家の紋章に似た美しい白いつるばら。
当時のバラにはなかった弁質の良さと、強健さを携えて、一点の汚れもなく澄みきったその佇まいは、今後も多くの人びとを魅了し続けることと思われます。

2015年春カタログ 入稿しました

2015年春カタログ

大変お待たせして申し訳ございません。

「2015年春カタログ」ですが、原稿を印刷会社さまへ入稿いたしました。
印刷・納品の完了後、来月4月10日以降配送予定です。

姫野ばら園にてご注文頂きましたお客様には自動で無料配送いたしております。当園のご利用がはじめての場合は、申し訳ございませんが税込み 540円 分の切手を同封の上、封書にてお申し込みください。ただし、バラ苗や資材等一緒にご購入された場合は新規のお客様でも無料で同封いたしております。

掲載品種数は過去最大700品種以上。代わりに今回はコラムページを削減させていただきましたが、当園で保有できているオールドローズはその多くを掲載できました。品種数の多いハイブリッドティー種などはまだまだ未掲載のものも多いですが、古い品種をメインになるべく多くの品種の写真をご覧いただけるよう編集いたしました。図鑑としての役割に重きを置いたカタログとなっております。

しかし、生産数の関係で、特にハイブリッドティー種は新苗でも在庫少量の品種が多くございます。中には来季春(2016年春)の新苗のご予約のみしかお受けできない場合もございます。何卒ご了承いただけましたら幸いです。