ばら用語集 か行

ばらを管理する上で、頻出する単語・用語について解説します。

あかさたなはまやらわ

用語集 – カ行

返り咲き(かえりざき)

一番花が咲いた後、不規則に再度開花する性質。温度さえあれば必ず蕾を付け、剪定により開花調整が可能な「四季咲き」とは違い、「返り咲き」品種は返り咲く頻度や期間が品種によって大きく異なり二回目以降の開花は安定しなくなります。

「四季咲き木立品種」と「返り咲きつる品種」は開花や枝の伸び方などの性質が根本的に異なるため、当園では厳密に分けて表記しております。「返り咲き」と表記がある場合はすべて例外なく「つる性」として扱い、「四季咲き」と表記がある場合は完全四季咲き木立品種を指し、原則つるとしては扱いません。(例外的に小型つるばらとしても扱える四季咲き品種があります)

秋まで安定して返り咲きがあるつる性品種は「返り咲き」と区別して「繰り返し咲き」と表記しております。

カップ咲き(かっぷざき)

花の形状の一種。お椀のようにカップ状になって咲く咲き方のことです。

灌水(かんすい)

「潅水」と同義。水を与えること。特に植物に対して水を与える際に用いられます。

がんしゅ病

根頭がんしゅ病(こんとうがんしゅびょう)と同義。下記「根頭がんしゅ病」を参照。

寒肥(かんぴ)

ばらや草木などが休眠期に入る冬の間に与える肥料です。気温が上がり、ばらや草木などが活動を開始する前に行います。概ね平地では12~1月ころ、寒冷地では地面が凍る前に与えるか、氷が溶け始めた直後(2~3月ころ)に与えます。穴を堀り、根を少し切ることで植物の再生を図る目的もあります。

かつては油かすや骨粉、過リン酸石灰などが肥料の主流で、これらは分解が遅いため、芽出しの頃に効かせるには12月下旬頃の施肥が望ましいとされていました。これが「寒肥」という考え方が生まれた経緯ですが、最近は技術も進み、多くの肥料が開発され、効果も高くなってきたので必ずしも寒肥に拘る必要もなくなってきました。

3月の芽だしの頃から、緩効性の肥料と速効性の肥料とを組み合わせて与えても十分間に合います。

強剪定(きょうせんてい)

剪定の中で、最も強く深めに枝を切ること。ハイブリッド ティー ローズで多く見られる、枝が強く引き締まり、成長力が強い品種であれば強剪定に耐えることができます。この場合、程度によりますが、ベーサルシュートを地上より 40cm 程度にまで切り詰めても大丈夫でしょう。

反対に枝が充実しにくい品種では強剪定を無闇に施すと枝の栄養を失い枯死してしまいます。また、つる性品種の場合も、特別な理由がない場合は枝の整理(整枝)や枝先の軽い剪定に留め、強剪定はしません。

切り接ぎ苗(きりつぎなえ)

ばらの増殖方法の1つ。増殖をしたい品種の枝(穂木)を、台木に接ぎ木することです。ばらの増殖方法の中で最も生産効率がよいため、販売されている苗木のほとんどは切り接ぎ苗です。また、日本では台木として「のばら」を使用します。

切り接ぎをする際、台木と活着させるため接ぎ木テープを使用します。若い接ぎ木苗は接ぎ口から折れないよう接ぎ木テープが付いたままにとなっています。1年間は折れないようにするため付いたままで大丈夫ですが、2年目以降は株元を締め付ける原因となるため、必ず接ぎ木テープを外してください。

他の増殖方法としては「挿し木」「芽接ぎ」などがあります。

剣弁(けんべん)

花弁の両端が反り返ることで、まるで剣のように花弁が尖ったような形になったもの。剣弁となる咲き方を「剣弁咲き」といいます。「ロサ・ギガンティア」から受け継がれた形質と推測されています。

繰り返し咲き(くりかえしざき)

つる性品種の中で、秋まで安定した返り咲きがある品種に対して、当園では「繰り返し咲き」と表記しています。「四季咲き」と区別するための表記です。

黒星病(くろほしびょう)

「黒点病(こくてんびょう)」と同義。ばらを栽培する際に最も注意しなくてはならない、ばらの最大の天敵といえます。黒星病に犯された葉は表面に不規則な黒斑を生じ、時間が経つと黄変して落葉します。肉眼で確認できた時点で病気としては最終段階、完治はできないので葉ごと除去します。病原菌は土に潜むため、農薬散布以外の防除法として多発時のマルチングも効果的です。

若葉には症状が見られず、古い葉の「葉裏」から雨水等の跳ね返りによって感染します。表面の保護皮膜が薄れてくる古い葉では表からも感染してきます。降雨時、水を媒介して感染するので梅雨の時期から爆発的に広がっていきます。定期的な予防散布に加え、肥料切れを防ぎ、常に新芽を発生させられるような株づくりが重要となります。

高芯咲き(こうしんざき)

花の芯が横から見た時、盛り上がって見えるような咲き方。ハイブリッド ティー ローズの「オフェリア」が高芯剣弁咲きを初めて体現した品種と言われています。気品があり、コンテストでは特に好まれます。

黒点病(こくてんびょう)

「黒星病(くろほしびょう)」と同義。詳細は上記「黒星病」を参照。

根頭がんしゅ病(こんとうがんしゅびょう)

根や接ぎ口部分の表面にごつごつした大小のコブを生じる病気です。コブは始め白色ですが、次第に乾燥して黒褐色のコブになります。病原菌は「Rhizobium radiobacter(リゾビウム ラジオバクター)」で、土壌中に長く生存しています。土壌内の伝染の他、感染した株に対して使用したハサミなどの道具に付着し、それら道具と接触した株へと伝染する場合があります。主な感染経路は植物の「傷口」です。枝葉のこすれ程度の接触や、飛散による感染はほとんどありません。

根頭がんしゅ病自身には苗を枯死させるほどの力はありませんが、他より生育が劣るなどの症状がでることがあります。コブが見られた場合、土壌に病原菌が潜んでいますので、殺菌をしたい場合は株を抜き焼却処分をした後、土壌を新しいものへと交換します。また、汚染された株に対して使用したハサミや、土壌を掘り返す際に使用したスコップ等に菌が付着し、他の健全な株の切り口などから接触伝染する可能性がありますので、アルコール等を用いて道具類の消毒作業をします。加熱殺菌も有効です。