オールドローズとは何か
オールドローズとは便宜上の呼び方であって、18○○年以前といったように明確な線引きができるものではありません。しかし呼称としては便利なので、古いばらの総称として一般的に良く使用されています。
もう少し具体的にはガリカ、ダマスク、アルバ、センティフォリアなど西洋に古くから存在するばらで、花弁が多く重たげなカップ咲きの花容をもち、豊かな香りを持つ、そのような特性をもつばらたちの総称、といえるでしょうか。
とくに花心が見えないほどにくるくると渦巻く重厚な花弁の重なりは、現代のきりりとした花型のばらとは対照的で、愛好家の心をもっともゆさぶる要素であるといえるでしょう。シルクのように柔らかい質感の花弁と素晴らしい香りももちろん魅力的です。
一般的には、下記の系統に属する品種を「オールドローズ」と呼んでいます。
- ガリカ – Gallica Rose
- アルバ – Alba Rose
- ダマスク – Damask Rose
- ケンティフォリア – Centifolia Rose
- モス – Moss Rose
- ブルソール – Boursault Rose
- ポートランド – Portland Rose
- ブルボン – Bourbon Rose
- ハイブリッド ムスク – Hybrid Musk Rose
- ノアゼット – Noisette Rose
- ハイブリッド パーペチュアル – Hybrid Perpetual Rose
オールドローズの大半は半つるまたは完全なつる性です。
(例外的にブルボンローズに四季咲き木立品種が少数ございます。)
初めての方にもお勧め出来るオールドローズたちを選んでみました。
琴線に触れる品種がございましたなら是非、お試しになってみて下さい
つるばらの性質や系統について
つる状に伸びるばらの特徴や系統についての詳細なコラムは下記ページにて執筆しました。
さらに詳細なつるばらの性質や系統の特徴についてはこちらをどうぞ。
枝がしなやかで誘引しやすいのは「一季咲き」
というお問い合わせを多く頂きます。初めてつるばらを誘引してみたい、そして折角なら何度も花を見てみたいというお気持ちはよくわかります。返り咲き品種をご希望されるお客様はやはり多いです。
しかし、枝の誘引のし易さや家庭用の小型のアーチ・フェンスなど、特に「高さ」が低い構造物(1mくらい)に使用されることを考えると、実は返り咲く品種では扱いが難しくなっていきます。
一季咲きほど枝が柔らかく、返り咲くほど枝が固くなる
一季咲き品種は春のみの開花で、夏以降はすべて枝の成長に栄養を使います。そのため、枝はすらりと伸びていき節ができない特徴あります。
一方、返り咲く品種は、春以外でも花を付けるため、枝の成長を一旦止めて開花に栄養を使います。開花が終われば花ガラ切りを行います。すると、枝には節ができて固さが加わっていきます。返り咲きが多いということは、つまり「四季咲き木立ばら」に近づいていることになり、そのため枝のしなやかさは徐々に薄れていってしまいます。
枝が曲がりにくいということは、それなりに広いスペースが必要になります。特に大輪系つる性ばらで返り咲き性を持つと枝が固くなり易い傾向にあり、そのため高さが制限される環境ではこれのら品種の利用が難しいことになります。
一季咲きの品種の方が枝は曲がりやすく、低い場所でも容易に枝を倒すことができます。花が春以降も見れるという性質は一般的に歓迎されますが、明確なデメリットもありますので、返り咲き品種ほど慎重に選ぶ必要があります。
つる性ばらの開花は枝先に起こります。冬に行う誘引は、さながらキャンパスに絵を描くように、花を咲かせたい場所へ枝先をもっていく作業です。枝が曲がりやすい品種は、それだけ自由に開花位置を調整できるということでもあり、その人が持つ心の表現手段として、存分に力を発揮できる性質と言えます。
このため、初めてつるばらを誘引してみたいという方にこそ、まずは一季咲きの品種をおすすめしております。
枝の節が少ないため、剪定・整枝や誘引もわかりやすくより単純になります。
オールドローズの「一季咲き」定番おすすめ品種
以上の理由により、つる性ばらが初めてのお客様にはまず「オールドローズ」の中の「一季咲き品種」たちをおすすめしております。オールドローズは香りも良く、急激に伸びていかない品種も多くありますので非常に扱いやすい、どんな場所にも使える庭園素材として最も優秀な品種群であると言えるでしょう。また、株元からの新しい枝の発生が多く、年数が経っても樹型が乱れにくいのも貴重な性質です。
そんなオールドローズの中で、花付きが良く特に扱いやすいおすすめの品種をご紹介します。
(返り咲き品種がご希望の場合は、次の項にて扱い易い返り咲き品種をご紹介します。)
推奨商品
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カーディナル ド リシュリュー – Cardinal de Richelieu
¥2,200 ~ ¥5,500 (税込)シックな紫色は咲き始め赤みが強く、のちに灰色を帯びた青紫へと移ろいます。大変よく知られ、当方でも毎年カタログへ掲載しておりま…
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デュシェス ド モンテベロー – Duchesse De Montebello
¥2,200 ~ ¥5,500 (税込)カップ状の花型と花付きが素晴らしい、植栽効果の得られやすい名花です。伸長はやや旺盛ですが枝にしなやかさがあるので誘引しやすく…
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デュシェス ダングレーム – Duchesse d’Angouleme
¥2,200 ~ ¥5,500 (税込)ソフトなピンクと素晴らしい香りに癒やされます。花つきがとても良く、雨による花弁の傷みも比較的少なくすっきりと開花を楽しめます…
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メイデンス ブラッシュ – Maiden’s Blush
¥2,200 ~ ¥5,500 (税込)アルバローズらしい特徴を表す美しい品種で、花名は「乙女のはじらい」を意味します。16世紀から知られている古い品種で、ルドゥテ…
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ブラッシュ ダマスク – Blush Damask
¥2,200 ~ ¥5,500 (税込)ラベンダーピンクの美しいダマスクローズ。枝振りも葉の茂りも美しく、香りもよい。花付きが大変良く、咲き方を見るとガリカローズに…
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マダム プランティエ – Madame Plantier
¥2,200 ~ ¥5,500 (税込)枝葉の特徴が本来のアルバローズとは異なります。清楚な白い花と明るい緑の枝葉が爽やかで、こぼれるように咲くやさしい姿はどのよう…
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イスパハン – Ispahan
¥2,200 ~ ¥5,500 (税込)世界遺産でもあるイランの古都の名を戴く美しいばら。ダマスクとしてはトゲが少なく耐寒性、耐病性共にすぐれた育てやすい品種です。…
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ファンタン ラトゥール – Fantin Latour
¥2,200 ~ ¥5,500 (税込)枝葉の特徴は古典的なケンティフォリアローズとは異なりますが、透き通るようなソフトピンクの花色と端正な花容が誰の目にも美しい品…
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アンリ マルタン – Henri Martin
¥2,200 ~ ¥5,500 (税込)耐寒性が高く成育の良さが際立ちます。花付きが良く、充実した花が株一面を覆うとそれは見事です。ガゼボや壁面などに、あでやかな色…
オールドローズの「返り咲き」定番おすすめ品種
一季咲きが扱いやすくとも、返り咲きはやはり魅力的な性質です。
返り咲く品種の中でも、比較的返り咲きが少なめであれば一季咲き品種と遜色ない枝のしなやかさを持つ品種もあります。また、安定して秋まで返り咲く品種は、枝の成長が遅れ気味になる特徴があります。返り咲きが多くても、小中輪系の品種だと比較的枝が柔らかく扱いやすい品種が存在しますので、このような品種を選ぶことができれば低めのフェンスやアーチにも便利に使っていただけます。
そんな返り咲き品種の中でも特に扱いやすい品種たちをここで紹介いたします。
推奨商品
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レーヌ ヴィクトリア – Reine Victoria
¥2,200 ~ ¥5,500 (税込)ヴィクトリア女王を意味する、この系統を代表する名花です。ころんと丸いカップ状の花型からはダマスクを基調とする素晴らしい芳香が…
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ヴィヴィッド – Vivid
¥2,200 ~ ¥5,500 (税込)この系統の中では比較的返り咲きがあり、あでやかな色彩と花容にふさわしい、濃厚なダマスク香が豊かに香ります。玄関回りや大きめの…
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スヴニール デュ ドクトゥール ジャマン – Souvenir du Docteur Jamain
¥2,200 ~ ¥5,500 (税込)比較的早咲きの品種で黒みを帯びた深い色彩に誰もが惹き付けられます。トゲもほとんどありません。枝にびっしりと花を咲かせ、壁面や…
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ミセス ジョン レイン – Mrs John Laing
¥2,200 ~ ¥5,500 (税込)返り咲きに優れ芳香高く、花容も美しいお勧め品種です。木立ばらのように剪定で管理することも可能ですが、やはりもとの樹形を活かし…
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ブラッシュ ノアゼット – Blush Noisette
¥2,200 ~ ¥5,500 (税込)透き通るような淡いピンクが美しい小輪房咲きで四季咲きと言ってよいほどの返り咲き性を持ちます。花付きも素晴らしく、小スペースの…
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コント ド シャンボール – Comte de Chambord
¥2,200 ~ ¥5,500 (税込)この系統を代表する人気品種で、ダマスクの大変豊かな香りがあります。枝葉はオールドローズ風で半つる状に伸びますのでトレリスなど…
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マリー ド サンジャン – Marie de Saint Jean
¥2,200 ~ ¥5,500 (税込)白い花弁にほのかにかかる紅色が何ともいえず雅な印象です。明るい緑の葉も花をひきたてて美しい。夏までは比較的返り咲き、トレリス…
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ペネロープ(ペネロペ) – Penelope
¥2,200 ~ ¥5,500 (税込)白地に杏色のぼかしが入る半八重の、この上なく優美な品種です。ほのかに香り、返り咲きも大変多い。最初は枝数が少ないですが作り込…
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フェリシア – Felicia
¥2,200 ~ ¥5,500 (税込)ソフトピンクの中輪で香りが良く、返り咲きが特に多い品種です。剪定と誘引を組み合わせてアーチやトレリスに幅広く対応できる、使い…
初めてのつるばらはオールドローズがおすすめ
以上、オールドローズの中でも特に扱いやすい定番の品種を「一季咲き」「返り咲き」の2つに分けてご紹介させていただきました。これら品種であれば、扱いに困ってしまったということにはあまりならないでしょう。
以上に挙げてきた品種たちは、以下のような特徴を持っています。
- 枝が比較的しなやかで誘引がしやすい
- 花付きが良くどのような場所にも抜群の開花を見せてくれる
- 香りがよい
- 株元からの枝の発生が多く、株姿がまとまりやすい
このような特徴を備えたつるばらは、あらゆる場面にも対応できるため植栽効果が非常に高いということが言えます。花付きが疎らになることもなく、枝も素直な伸び方をしてくれるので失敗も少なくなります。
そして、これら特徴を備えた品種はやはりオールドローズに多く見られるので、初めてのつるばらを植えてみたいという方には、特にオールドローズをおすすめしております。