四季咲き木立ばらのおすすめ

四季咲き木立ばらのおすすめ

「四季咲き」という性質の定義

「四季咲き木立ばら」の他に「四季咲きつるばら」という表記があるサイトや書籍を多く見かけます。
しかし、植物学的な観点で見た場合、「四季咲きつるばら」という言い方はには少し語弊があるかと思います。

「四季咲き」という名前は、その名の通り「四季を通して咲く」ということを指していますが、気温の下がる冬はもちろん花を付けません。ばらは落葉低木植物だからです。では、なぜ「四季」という言葉を使っているかというと、冬の間でも加温をして一定の温度をかけてあげれば、必ず安定して蕾を付け開花するからです。

この性質があるばらは、横張りや直立など樹形の違いはあるにしても、いわゆる「すり鉢状」の樹形に必ずなり、節を作りながら完全に自立します。そして、温度さえあればすべてのシュートがその年蕾を付ける能力を持っています。この「四季咲き」という性質は、つる性になると完全に失われ、一季咲きになるか返り咲く頻度が少なくなり開花が安定しなくなります。

「ブラッシュ ノアゼット」のような返り咲きが非常に安定したつる性の品種も確かに存在するのですが、いくら返り咲きが強くとも、「つる性」と「四季咲き性」は相反する性質のものであり、両立しません。つる性である以上花を付けないシュートというものも発生しますし、温度があった場合は栄養を開花ではなく枝の成長へと優先的に使っていき、つるの樹形となっていく性質があります。

また、剪定により開花を調整することが難しく、不確実になっていきます。これらは四季咲き木立性の品種には見られません。四季咲き木立性の品種は、剪定から開花までの日数を(経験則を頼りにすることも多いですが)計算することが可能です。つる性ばらは、冬剪定以外では開花を調整することはできません。

当園ではこの点を厳密にしたいと考えております。「つる性ばら」と「四季咲き性ばら」は、管理と演出方法が全く異なります。ここをはっきりしておかないと管理方法の迷いや、折角の風景に違和感が生じてしまうからです。おおまかな分類ではありますが、返り咲きが秋まで安定しているつるばらの場合、当園では「返り咲き」と区別して「繰り返し咲き」と表記しています。

四季咲きばらの性質や系統について

四季咲きばらの特徴や系統についての詳細なコラムは下記ページにて執筆しました。
さらに詳細な四季咲きばらの性質や系統の特徴についてはこちらをどうぞ。

基本はお好きな品種を選んでOK

四季咲き木立ばらは、横張りであったり直立であったり、花が大きかったり小さかったり、そのような違いはありますが「四季咲き」という性質を持っているので、程度の差こそあっても春から初冬にかけてまで連続して開花します。

栄養状態が良く、日当たりが良ければ必ず開花してくれます。また、剪定によって樹高や開花時期などを大きく調整できます。このため、基本的には感性の向くまま、お客様の好きな品種を選んでいただいて構いません。

しっかり選ぶなら「系統」ごとの特徴を押さえておこう

とはいっても四季咲き木立ばらの数は膨大です。その中から1つのばらを選ぶのも難しいでしょう。

そこで、四季咲き木立ばらを選ぶポイントをいくつか押さえてみましょう。
四季咲き木立ばらも、他のつるばらと同じように「系統」があります。それぞれの系統ごとに特徴がありますので、その特徴を知っておけば品種選びの助けになるはずです。このページでは、各系統ごとの特徴とともに、おすすめの品種たちをご紹介いたします。

チャイナ ローズ

四季咲きの祖とも言える系統の1つです。ばらの「四季咲き」という性質は、このチャイナローズの中の「庚申ばら(ロサ・キネンシス・ブッシュ / ロサ・キネンシス・マイナー)」が起源とされています。花色は淡いピンクから濃い赤まで様々ありますが、黄色や青紫色の品種はありません。香りの強弱にも幅があります。枝は細くしなやかで、多くは花首がたれて風になびくような咲き方をします。

花付きが良く樹形もまとまりやすいような品種がベストです。以下の品種たちをよくおすすめしております。

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ティー ローズ

チャイナローズと極めて近い、親戚のような系統です。しかし、性質はいくらか異なっています。花容や株姿は一般的にチャイナローズより大型で、クリーム色や淡いサーモンピンクなど、黄色味の感じられる色調が多いこと、多くは枝に赤みがさす、紅茶のような甘い独特の香りを持っていることが特徴です。こちらも基本は花が垂れて風になびくような咲き方をします。

こちらも樹形がまとまりやすくて花付きがよい品種を選べば間違いありません。

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ポリアンサ ローズ

ポリアンサとは「たくさんの花」を意味し、その系統名どおりに大変花付きが良く房になって咲きます。日本の野ばらが起源となっているようです。色幅や花型の変化が少ないのですが、耐寒性が非常に高く、高地での栽培には適しています。樹は、どちらかというと横に張る品種が多く、がっりしりしています。

花付きはどれでも問題ないので、他の品種と合わせやすい名花を紹介します。

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フロリバンダ ローズ

「フロリバンダ」とはアメリカで名付けられた系統名で「花束」を意味しています。ポリアンサ ローズでは花型や花色のバリエーションが少なかったので、もっと多くの楽しみ方ができる品種を作りました。それがフロリバンダ ローズです。ポリアンサ ローズから耐寒性もいくらか受け継ぎ、中輪房咲きでコンパクトな樹形になっていますので花壇品種としては最も扱いやすい系統になるかと思います。

特に花付きがよい、お庭を彩る名花をご紹介します。

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ハイブリッドティー ローズ

オールドローズのハイブリッドパーペチュアル種とティーローズを交配させて誕生しました。人類が追い求めてきた完全四季咲きの大輪花です。ラ・フランスに始まり、現在に至るまで多くの育種家が夢と情熱を持って個性豊かな品種を多く世に出しています。花型・花色・香りなど様々で最も品種数が多い系統になります。基本的には大輪花で切り花等にも向きます。

本当に数が多くておすすめ品種を挙げればきりがないので、特におすすめの名花に絞ってご紹介します。

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ミニチュア ローズ

ばらの世界に四季咲きという性質をもたらした「庚申ばら」の1つ、「ロサ・キネンシス・ミニマ」が起源となっている系統です。名前の通り「花」「樹」「葉」がすべてミニチュアサイズの品種たちで、すべての系統の中で最も四季咲き性が強い系統でもあります。年中途切れること無く開花している姿が見れ、また非常にコンパクトなので鉢栽培に最適です。

ミニチュアローズの中でも、特に名花であると言われている定番品種をご紹介します。

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好みと品種の特性を考慮して選択

四季咲き木立ばらは数が多く、その性質も千差万別です。

ただ、系統によって品種の特徴はある程度決まってきますので、それらを参考にしながらお庭に合いそうな品種を選定します。花以外の、枝葉の雰囲気にまで目が向かうようになれば、よりお庭との調和が取れやすくなります。

ひとつ注意することがあるとすれば、その品種の「樹勢」になるかと思います。「カフェ」や「グレイ パール」などは樹勢が弱く作りこむのに時間がかかってしまうので、このような品種の場合は結果を急ぎ過ぎない心構えが必要になってくるかと思われます。逆に「ヘレントローベル」などのように樹勢が強く樹高が高くなる品種は、花壇後方へ植栽することでバランスがとれます。

個性的な品種も多くバリエーションに富んでいる品種達ですので、ご自身の好みと照らし合わせながら品種を選んでみて下さい。

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