赤ばらの祖であるガリカローズと双璧をなす白ばらの祖、アルバローズ。

聖母マリアがヴェールをかけたばらは白いばらになったという伝説も残る神秘のばら、15世紀イギリスで起こったばら戦争では、ヨーク家の紋章であったことも有名です。

現在においてもアルバローズはその清らかな花容や爽やかな香り、青みを帯びた葉など、その独特の個性で多くのばら愛好家たちを魅了しています。

アルバ セミプレナ

「ヴィーナスの誕生」で描かれたばら?

アルバローズのおいたちはガリカローズほどはっきりとはしておらず、また生粋の原種ではなく交雑で生じたものと推定されています。交配親はロサ・ガリカとロサ・アルウェンシス、またはロサ・ダマスケナとロサ・カニナの交雑で生じたなど諸説あります。はっきりとした記録はルネッサンス時代の名画「ヴィーナスの誕生」などに見られ、画面に描かれた白いばらはアルバセミプレナではないかと推測されています。

葉も花も清らかな花姿

アルバローズ全体の特徴としては、以下の様な点が挙げられます。

  • 花色は白または淡いピンクであることが多く、一部濃いピンクの品種も存在する。
  • 多くは青みがかった灰緑色の葉を有し、アルバローズの大きな特徴となっている。
  • 株元からガリカローズより太めの枝を発生させ、早くから自立する品種が多い。

また、アルバローズの多くは独特のさわやかなレモン香を含む芳香を有し、現在も白ばらの香りとして、ハイブリッド・ティ種などモダンローズの白ばらの中にも、その影響を見ることが出来ます。

すべての品種ではありませんが耐寒性も高く、アルバセミプレナやメイデンスブラッシュなど古い品種はばらの大敵である黒星病にもほとんどかからない様です。

前回にご紹介したガリカローズほど枝に柔軟性がないため、植栽の目的は多少限られますが、アルバローズもガリカローズに劣らず魅力にあふれた品種群と思います。

特にアルバローズ特有の青みを帯びた葉はいかにも爽やかで、澄んだ花色を一層引き立てますし、花がない時期の楽しみとして、この青い葉を目的に栽培される方もいらっしゃるほどです。

大まかな区分ですがアルバローズの中にはアルバセミプレナに代表されるようにアルバローズ本来の性質を色濃く残す品種と、フェリシテパルマンティエなど交配により少し他系統の影響が見られる品種、マダムプランティエなどのようにアルバローズに分類されているものの、枝葉の性質が本来のアルバローズの特徴からはかなり異なる品種の、3通りに分類されるような気がしています。

アルバ セミプレナの葉

メイデンスブラッシュやセレッシャルは自立型の樹形を生かして窓廻りのポイントやアーチ仕立て、美しい葉を生かしてガゼボの入り口付近の植栽などに好適です。
一方で、つるばらとしての性質の強いマダムプランティエやソフィードバビエールはその伸びる特性を生かして、窓廻りやパーゴラなどにあしらうと大変美しく魅力的です。

マダム ルグラ ド サンジェルマン

いずれの場合も伸びた枝をどのように生かして咲かせるかが、つる性のばらを扱うときの大切なポイントです。

その意味ではガリカローズより少し上級者向きと思えるアルバローズですが、アルバローズだけがもつさまざまな魅力はばら愛好家にとって大変貴重なものです。この清澄さにあふれた世界をぜひ、ご自身で体感してみて下さい。

特におすすめの品種

特におすすめの品種を抜粋して、ご紹介させていただきます。

アルバ セミプレナ – Alba Semi-plena

現存するアルバローズの中でもっとも古代のアルバローズに近いと思われる基本種、青みを帯びた葉が大変美しく、さわやかな香りもよい。実付きが大変よいので果実酒などへの利用も面白い。

しっかりとした枝を3m近く伸ばすので家庭では冬季に多少剪定して庭木のように扱うか、一部の枝を誘引するなどの工夫があるとよいと思われる。

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アルバ セミプレナ

セレッシャル – Celestial

典型的な灰緑色の葉と、澄んだ花色の美しさが際立つ品種。天上界をあらわす花名にふさわしい気品があり、アルバローズ特有の香りも良い。極端に伸びすぎない特性を生かしてアーチ仕立てやトレリスなどへあしらうとより個性的な演出が楽しめる。

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セレッシャル

マダム ルグラ ド サンジェルマン – Madame Legras de St. Germain

枝葉の性質は本来のアルバローズとは異なるが、切れ込みの入る明緑色の葉や白い清楚な花は大変清らかで美しい。枝は細くトゲがまったくないのも嬉しい。

アルバローズにはこの品種の他、クロリスやソフードバビエールのようにトゲがない、または少ない品種があり、今後の庭園素材として注目される

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マダム ルグラ ド サンジェルマン

マダム プランティエ – Mme.Plantier

一般的なアルバローズとは異なる枝葉を持ち、便宜上この系統に含まれているようです。白いつるばらとして大変美しく、4mほど伸びますのである程度広さのある場所に適しています。

花付き抜群で香りも良く、切れ込みの入る葉も風情があり、枝は細くで繊細な表情を描き出してくれます。

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マダム プランティエ