ばら苗の手入れ

新苗を上手に育てるために

新苗を上手に育てるために

新苗は不安、という声をよくお聞きします。確かに枝が一本しか伸びていない小さな新苗はいかにも頼りなく思えるものです。それでも、小さな苗から自分で育てる楽しみもまた、捨てがたいものです。今回は、新苗をうまくそだててゆくポイントに注目してみました。

四季咲きばらは摘蕾を

これがやはり重要かなと思います。

最初のお花は品種があっているかどうかの確認もできますし、比較的良い花が咲きますので、お楽しみいただいてよいと思います。ただ、それ以降もお花を咲かせているとやはり大きくなりません。

鑑賞したお花も花がらになるまで放置せずに、すみやかに切り戻すようにします。枝が固くなってしまうと、次の芽の発生が遅くなるからです。

花つきの良い品種は最初の花のあともどんどん蕾を上げてきます。複数の株があると追いつかないくらいです。株に勢いが出てくるまではひたすら摘蕾につとめます。摘蕾は指先でつまめるくらいの時に行うのが正しく、鋏で切らなければならないようでしたら遅いとされています。可能なら、蕾のすぐ下の葉を一段分つけて摘蕾すると良いでしょう。

摘蕾は手で摘まめる時期に行うのが基本

葉を落とさない管理を

通常若い苗は病気にはなりにくいものですが、それでも害虫による食害被害は受けます。

小さな苗のうちに多くの葉を失ってしまうと、回復は可能でも生育が大幅に遅れてしまうことは確かです。落葉させない管理が新苗では特に重要です。

落葉してしまっている場合は根腐れをおこしやすい状態とも言えます。灌水は控えめにして、かならず土の表面が乾いてから与えるようにし、新葉の発生を待つようにします。

新苗は特に葉を残す工夫が大切

地植えの株は鉢植えに比べて初期成長が遅いことがある

生育に使用できる土の養分と、株の成長度合いは比例します。

しかし、初期に関していえば、地植えにした株は少し成長がにぶいことがあります。品種による要因も大きいのですが、特にオールドローズ類に見られる傾向かと思われます。

植物の根には少し不思議な特徴があって、根が回りだすと生育に勢いがついてきます。小さな鉢に植え付けた場合はこの「根が回る」現象が早くに起こりますので、見かけ上の成長は早くなります。一方で地植えの場合は、どこまでも根も伸ばしてゆくことが出来るため、「根が回る」という現象が起こりづらくなります。

最初の一年目は根を張らせることに、ばらたちも全勢力を注いでいる状態といえます。その成果は2年目以降に表れます。同様の理由で、鉢仕立の株を地面におろしたときも、最初の一面目は生育がにぶったり、花が咲かなくなったりする場合があります。本当に土との相性が悪くて育たないこともないとは申せませんが、根が張るのにはやはり時間を必要とします。最初から大きな鉢に植えないで、小さな鉢から徐々に大きくしてゆくとよい、と言われたりするのも、このあたりに理由があると思われます。

鉢植えと地植えは見た目の生育の早さが違う

すぐには生育しないこともある、ということは留意されておかれると、余計な不安や焦りを感じなくてすむのではないかと思います。

植物にとって根はすべての基本です。生育が悪い、枯れてしまった、などの原因はほとんどが、根が何らかの障害を受けたことに起因しています。それは根腐れであったり、凍結や乾燥による傷みであったり、コガネムシ幼虫の被害であったりと原因はさまざまです。しかしながら共通しているのは、「根が健全に生育しない状況があった。」ということです。

地表が固くなったら中耕する、冬には新しい堆肥類をすき込む、鉢植えの場合は一部だけでも新しい土に入れ替える…すべて地道な作業ばかりですが、やっただけの効果は得られます。新苗も、既存の株も、常に根が健やかであるように。最後はやはり、これに尽きます。

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