ばらの植え付け方
最近の傾向として、植付け直後あるいは 4 週間程度で植付けたバラを枯らす事例が増加している様に思えます。適切な植付けを行えば、鉢植えのバラを枯らすケースは皆無に等しいはずなのですが。はて、どうしたものでしょう。
枯死事例で最も多いのが冬の乾燥による害です。冬でも根は活動しており、枝は直射光と季節風により水分を奪われます。根付いた後も定期的な灌水を必要とします。晴天が続いたら灌水を行って下さい。頻度は地域や土質などで一概には判断できませんが、一週に一度程度は必要かと思います。
次に多いのが植穴に施した肥料による害です。植穴の底に水溶性肥料をまとまった状態で施すと致命傷になります。気温や地温の上昇と共に、施した肥料が発酵を始め、ガスを出します。ガスは直上に上がり、根を傷め、枯死に至るケースが多く発生します。
対策としては、植穴の底に水溶性肥料を置かないこと。土中に肥料を施す場合は、必ずく溶性肥料(元肥専用肥料、マグカリン、ドレスコート等)を使用してください。
元肥専用肥料は、直接根に触れやすい状態で使います。鉢栽培や定植時の植穴に適量配合させて使います。水溶性肥料を元肥として植穴に施したい場合は、適量を培養土に良く混和した状態で植付けます。根に直接触れても、培養土と良く混和された状態で有るため、バラに害を及ぼす事は有りません。
根にまつわることで今ひとつの懸念材料となるのが、有機質の大量投入による障害です。有機質はたしかに植物に必要なものです。これは適量で初めて植物に還元されるものであります。多量に施すと害を及ぼすこと必定です。度を過ごした場合枯死に至るケースが多く、注意が必要です。
世はあげて有機栽培を奨励する傾向にあります。しかし、堆肥至上論は盲目的な追従者を生むこととなります。未充実な堆肥も何もかも、完熟堆肥の名の下に袋詰めで販売がなされています。
バラは野バラの台木に接ぎ木されて成育します。強い根は少々の障害にも耐え、生き延びます。これを良いことに粗悪な製品が蔓延るのです。挿し木苗を同じ基準で植え付ければ、おそらく枯死に至るでしょう。枯死の原因を苗木の質に求める傾向が強いのも気がかりです。
安易な記事や流言飛語に惑わされず、バランス良く物事を判断して下さい。野菜農家は差別化を図るため、有機質に特に敏感で、研究熱心です。有機質は作物の味に微妙な変化をもたらすためです。バラの味を良くするために、なんて言いませんが、適切な有機質は有効、適切の度を過ごさぬよう配慮して下さい。
繰り返しですが、安易な有機万能論、堆肥万能論で暗黒面に陥らないで頂きたいと思います。一部カラーラベルの裏に記載された植付け図に誤解を生む表記があります。植穴を上下半分に分け、上には肥料分を含まぬ培養土を作り、下半分には肥料分を含む培養土にしなさいと書かれています。
下の培養土は肥料分が土全体に混和された状態を指しますが、植穴の最下部に肥料と堆肥をまとめて施す様な解釈をなさる方のケースが目に付きます。これをやると地温の上昇と共にガスが出て枯死に至るのです。カラーラベルは随分と改善されてきましたが、表記の解釈を誤らぬようお願いいたします。
村田 晴夫 著