カメラコラム

シャッタースピードとは – シャッターの早さと明るさ、ブレとの関係

シャッタースピードとは – シャッターの早さと明るさ、ブレとの関係

写真の明るさを決める三要素として「F値」「シャッタースピード」「ISO感度」があります。

今回はこのうち「シャッタースピード」についてお話してみたいと思います。

このシャッタースピードを意識することで、写真撮影において問題となりやすい「手ブレ」「被写体ブレ」を防げるほか、逆に三脚などを利用した長時間露光などが可能になります。特に「写真のブレ」にお困りの場合は、このシャッタースピードを意識することで失敗写真を少なくすることができます。

シャッターが開いている時間を決める「シャッタースピード」

一眼レフカメラであればイメージセンサーの前に光をファインダーへ導くための「レフレックスミラー」が、このミラーがないミラーレスカメラであっても「シャッター幕」があります。シャッターが押されるとこれらが上下してセンサーに光が当たるようになります。

このシャッターが開いていてセンサーに光が当たっている時間のことを「シャッタースピード」と呼びます。

「1秒」「1/4秒」「1/10秒」・・・「1/100秒」「1/250秒」~といった感じで設定できます。最高速はカメラの機種によって異なりますが、最近はエントリー機であっても「1/4000秒」、上位機種になれば「1/8000秒」くらいまで速くすることができます。遅い方は「30秒」やそれ以上と遅くすることも可能です。

速ければ手ブレが抑えられる

シャッタースピードを意識する大きなメリットとして「手ブレ」「被写体ブレ」が大きく軽減されることが挙げられます。

シャッターを切ったときに大きくカメラが動いてしまうと「手ブレ」が発生し、写真全体がブレて撮影に失敗してしまった、という経験は誰にでもあるかと思います。どんなに高級なカメラ、レンズを使っていたとしても、不必要なブレが発生した写真は価値が激減してしまいます。

人の手や体は常に動いていますので、しっかり手や腕も固めたように思っていても僅かに動いてしまいます。かといっていつも三脚などを持ち歩くわけにもいきません。

そこで「シャッタースピード」を意識してみます。シャッタースピードが十分速ければ、多少カメラが動いてしまったとしてもセンサーには短時間しか光が当たりません。その一瞬を素早く撮影することができますので、ブレのない写真が撮れるようになります。

シャッタースピード「1/640秒」で設定された写真。これだけ速ければ手持ちでも手ブレはほとんど発生しなくなり、くっきりと撮影できます。

手ブレのしやすさは焦点距離にも大きく影響します。広く撮影(広角)する場合はあまり手ブレは起こらず多少シャッタースピードが遅くとも何とかなるのですが、遠くを撮影(望遠)する場合は焦点距離が長くなるほど手ブレの影響が強くなり、相応のシャッタースピードを稼がないと容易にブレます。

手ブレしなくなる目安として「1 / レンズ焦点距離」秒という指標があります。例えば焦点距離「100mm」で撮影する場合は、「1/100秒」以上速くすることで手ブレの影響を少なくできます。がっちり腕を固定できればもう少し遅くしてもうまくいく場合はありますが、ひとつの目安としてはわかりやすい指標になります。

カメラの手ブレ補正

最近のカメラには「手ブレ補正機能」が標準で搭載されることが多くなってきました。

名前の通り手ブレをカメラやレンズ側で抑えてくれる機能で、これが搭載されているカメラであれば上記指標より少しシャッタースピードが遅くとも手ブレが発生しなくなります。

この機能は「カメラ本体」で搭載されている場合と、「レンズ」の方に搭載されている場合があります。また、上位機種となれば「カメラ」「レンズ」それぞれが協調駆動してさらに補正機能が強化される機種もありますので、一度設定を見直してみられるとよいでしょう。

ただ、手ブレ補正機能が入っているとしても過信は禁物です。流石に「1/25秒」以下にもなると補正しきれずブレる可能性がありますので、そのときは「F値を下げる」「ISO感度を上げる」などして光量、感度を上昇させシャッタースピードをなるべく上げるようにしましょう。

被写体ブレも抑えられる

ここまでは撮影者の方のブレでしたが、写真のブレの原因はこれだけではありません。

もうひとつ、ブレの原因となるのが「被写体ブレ」です。

シャッタースピード「1/40秒」で設定された写真。この時は風が強く、揺れた花や枝葉がブレてしまっています。

名前の通り「被写体」がシャッターを切っている間に動いてしまったことによって発生してしまうブレです。特に激しく動き回る人や乗り物、また強風などで大きく揺れてしまうようなものを撮影する場合に問題となりやすく、一定以上のシャッタースピードを確保しなければならなくなります。

この「被写体ブレ」は撮影物が動いてしまうのが問題ですので、カメラの手ブレ補正でいくら強く補正されていても関係がなく、シャッタースピードを上げる以外の解決法がありません。動いているものを止めるだけの、素早いシャッタースピードが要求されます。

人が歩いているのを止めるのあれば「1/500秒」以上で概ね大丈夫ですが、例えばスポーツなどで思いっきり走っている人をブレなく止めるためには「1/800秒」や「1/1000秒」以上の高速なシャッタースピードを設定する必要がでてきます。

シャッタースピード「1/500 秒」で撮影したコスモス。風が吹いているため、シャッタースピードを速めにしないと花がブレてしまう「被写体ブレ」が発生する状況。シャッター速度を上げればブレない写真になります。

光量が足りない場合、「F値」を下げて開放に設定したり、あるいはノイズがでてしまうのを覚悟で「ISO感度」を上げてシャッタースピードを確保してください。特にISO感度を上げる方法は手軽で効果が高く、確かに感度が上がることでノイズが増える問題はありますが、それ以上にブレが発生した写真は記録用としても作品用としても価値が全く無くなってしまうので、とにかくブレがない写真を撮れるかどうかを重視した方がよいでしょう。

シャッタースピードを上げると写真が暗くなる

シャッタースピードを上げる弊害として、取り込める光の量が一瞬になってしまうことから写真が暗くなってしまうというものがあります。

シャッタースピードが速くなるということは「シャッターが開いている時間が短い」ということであり、つまりセンサーに当たる光の量が少なくなることから、そのまま何もしないと写真が暗くなってしまうのです。

しかし、シャッタースピードを上げてもカメラが自動で写真の明るさを一定に保とうとするため、背面液晶などを確認しても一見して明るさが変化していないように見えます。

これは写真の明るさを左右する要素として、シャッタースピードの他に「F値(絞り値)」と「ISO感度」があるため、残り2つの要素で写真の明るさの帳尻あわせをしているためです。

「F値」を下げて開放にすると光量が増えますので、これができるうちはF値を下げて調整します。しかし開放F値以上には開くことができませんので、今度はセンサーに当たる光に対する感度設定である「ISO感度」を上げて対処します。少しの光でも検出できるようにすれば、シャッタースピードを上げても写真の明るさを維持できます。

ただし、ISO感度を上げると写真の中に「ノイズ」が発生するため画質が下がります。このため、シャッタースピードが上がるとISO感度が上がってくることから一般的に画質が下がっていくことになります。シャッタースピードとISO感度のバランスをいかにするかが撮影者の腕の見せ所です。

カメラの「シャッタースピード優先モード」で自由に設定してみよう

多くの一眼カメラには、シャッタースピードを自由に設定できる「シャッタースピード優先モード」が搭載されています。

カメラの機種によりますが、ダイヤル式(モードダイヤル)で指定できるようになっており、「S」または「Tv」と書かれた部分にダイヤルを合わせれば「シャッタースピード優先モード」になります。

Canon EOS R6 のモードダイヤル。キヤノン製の場合は「Tv」に合わせればシャッタースピード優先モードになります。

シャッタースピード優先モードモードでは、シャッタースピードを撮影者が自由に設定でき、それ以外の設定はカメラ側で自動調整されるモードになります。これにより、シャッタースピードが変動しても「F値」や「ISO感度」の設定が自動で変動して適正露出を維持します。

※シャッタースピード優先モードでも「ISO感度」を手動で設定できる機種もあります。

長秒露光による表現

「手ブレ」「被写体ブレ」を抑えるため、なるべくシャッタースピードは速く設定するのが基本ですが、あえてシャッタースピードを遅くすることで撮れる写真もあります。

代表的なものは「星景写真」で、ほとんど真っ暗な夜空に向けて長くシャッターを開くことで、徐々にセンサーに光が蓄積され星空が撮影できるようになります。

2020年12月19日、当農場から木星と土星が大接近したときに月と一緒に撮影した写真。カメラは三脚に固定し、シャッタースピードは「10 秒」で撮影しています。

そのほかには、例えば「滝」の写真を撮る際に長くシャッターを開けることで「水の流れが糸のようになる」印象的な写真が撮影できます。また、湖面など揺れ動く水面に向かって長くシャッターを開けると、反射が平均化されることで湖面全体が鏡のように写せるなど、様々な手法があります。

ただし、長くシャッターを開けっぱなしにするため、その間にカメラが少しでもブレてしまえばすべて台無しになるという危険性もあります。必ず三脚を使い、しっかりとカメラを固定しておく必要があります。シャッターボタンを押す瞬間のブレさえも原因になることがありますので、撮影時にはタイマーを設定したり、遠隔でシャッターを切れる「レリーズ」やスマートフォンアプリなどを利用するとよいでしょう。

ブレていない写真が成功写真

あえてブレを入れて作品として表現する手法もあることにはありますが、これは明確な目的があってわざとする行為であり、基本的に写真というものは「ブレていない」ものが好まれ成功写真として認識されます。

このブレを抑えるために「シャッタースピード」は重要な指標となります。

日中の晴れた明るい野外であれば、特に意識しなくても十分な光量を得られることから自動で高速なシャッタースピードが設定されますが、曇りや雨天時、夕方など日が落ちた時間帯、林や森の中などの薄暗い場所、室内など多くの光がカメラに取り込めない場面ではシャッタースピードが極端に遅くなります。遅くしないと写真が暗くなってしまうためです。

特に「室内」は盲点になりやすく、たとえ人間の目には明るい部屋に見えてもカメラのセンサー的には不十分ということがほとんどで、室内の撮影では特にシャッタースピードに注意する必要があります。

写真のノイズは増えますが「ISO感度」を上げることで容易にシャッタースピードを上げることができますので、十分なシャッタースピードが自動で設定されるまでISO感度を手動で上げるか、いっそ全部カメラまかせで「全自動」で設定してもらうのもよいでしょう。

シャッタースピード「1/60 秒」を確保するため、ISO感度を「1600」まで上げた写真。手ブレ、被写体ブレが発生しないよう、薄暗い場所ではISO感度を上げることに躊躇しないことが大切です。
カメラ、レンズの手ブレ補正を活かしながらしっかり脇を固め、シャッタースピード「1/10秒」で撮影できましたが、それでもISO感度を「4000」まで上げています。

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