カメラコラム

ISO感度とは - 光への感度と明るさ、ノイズ量の関係

ISO感度とは – 光への感度と明るさ、ノイズ量の関係

写真の明るさを決める三要素として「F値」「シャッタースピード」「ISO感度」があります。

今回はこのうち「ISO感度」についてお話してみたいと思います。

カメラにおける感度とは「光」に対してのもので、イメージセンサーに当たる光をどの程度増幅させて記録するかを数値で示しています。写真のノイズ量に関係する要素のため、感度の上げすぎに抵抗がある方も多いですが、暗所であっても容易にシャッタースピードを稼げる手段として重要な要素になりますので、怖がらず積極的に操作してみましょう。

光に対してどれだけ敏感に検知できるかを指定する「ISO感度」

カメラ内のイメージセンサーに光が当たることで画像データが記録されますが、このセンサーに入ってきた光に対して「どれだけ光の情報を増幅させて記録するか」を示すのが「ISO感度」です。

読み方は「アイ・エス・オー」または「イソ」がメジャーなようです。

ISOは「国際標準化機構(International Organization for Standardization)」の略称で、各国の様々な”もの”に対して標準規格を提供している非政府組織です。

「ISO感度」は元々「写真フィルムの規格」で、あるフィルムがどれだけ弱い光を記録できるのかを示していました。感度毎にフィルムが分けられていて、暗い場所ならば高感度のフィルムに交換したりなど、今となっては少々不便なこともしていました。

デジタルデータ化された現在のカメラでもISO感度という指標は存在します。光のシグナルをどれだけ増幅して記録するかの目安として設定できます。

感度を上げると暗い場所でも明るく撮影できる

光に対して信号をどれだけ増幅して記録するかの指標ですので、感度を上げると少ない光でも信号を大きく増幅して明るく見せることができるようになります。

つまり、ISO感度の数値を上げると暗い場所でも明るく撮影できるようになります。

サンシャイン水族館で撮影した水槽。館内は薄暗いためISO感度を「10000」まで上げることで、少ない光でも増幅して明るく撮影できます。

このほか、薄暗い室内、夜景などを手持ちで撮影するときにどうしてもシャッタースピードが上がらずブレが発生してしまう場合、ISO感度を上げることでブレが発生しないシャッタースピードを確保して撮影することができるようになります。

また、F値(絞り値)を上げてパンフォーカスを狙いたい場面で、絞り込む際にやはりシャッタースピードが確保できなかった、という場合でもISO感度を上げることで対処が可能です。

感度を上げるとノイズが発生する

ISO感度を上げることによる大きなデメリットは「画像にノイズが発生」してしまうことです。

Canon EOS R6 で常用ISO感度最大値「102400」にて撮影した夜空。ほとんど真っ暗な中でも星が確認できるほど高感度ですが、画像にノイズが多く発生しています。

こちらは「Canon EOS R6」というカメラで設定できるISO感度の最大値(常用ISO感度内)で撮影した画像です。手持ちで撮影し、シャッタースピードは「1/25秒」まで確保、それでいて星の撮影ができるくらいまで高感度な状態ですが、画像にノイズが多く発生しています。

これは極端な例ではありますが、感度が高くなるとノイズが多くなり、コントラストや解像感が低下するなど画質の低下が発生するのが高感度状態のデメリットです。この傾向は「エントリー機」や「高画素機」、「APS-C機」や「マイクロフォーサーズ機」「コンデジ」「スマートフォン」とセンサーサイズが小さくなるほど顕著に発生します。

このノイズ耐性を主に考える場合、「センサーサイズが大きく」「画素数が少ない」と発生が抑えられる傾向にあります。暗い場所での撮影では、実は低画素機の方が優位になりえます。

ISO感度は写真の明るさのみを調整できる

写真の明るさを決定する三要素である「F値」「シャッタースピード」「ISO感度」ですが、この中で「ISO感度」のみ写真の作品性に関して大きな影響がない要素になっています。

「F値」は被写界深度(ボケ量)に影響しますし、「シャッタースピード」はブレの軽減や長秒露光などの撮影手法がある中、「ISO感度」は調整しても写真のノイズ量や画質にしか影響がない、純粋に明るさの調整のみが可能な要素である点は覚えておきましょう。

忘れがちですが結構重要です。明るさ調整を目的にして「F値」を調整してしまうとボケ量が変わってしまいますし、「シャッタースピード」を調整してしまうとブレが発生してしまったり、逆に動きのある表現ができなくなったりと、他の2つの要素では作品性に大きく影響がでてしまうので、それらへの影響がないISO感度という要素の性質はしっかり把握しておきましょう。

あまり気にしすぎるとシャッターチャンスを逃すかも

画質への影響が顕著にでることから、なるべく低ISO感度で撮影したいという気持ちがでてきます。

基本的にはそれでよいのですが、あまり低ISO感度に拘りすぎるとシャッターチャンスを逃す可能性が高くなります。

特に暗い場所ではそもそもシャッタースピードを速くすることが難しく、「手ブレ」や「被写体ブレ」が起こりやすくなっています。この状態でも低ISO感度を維持してしまうと、折角シャッターを切ってもブレ写真ばかりが量産されてしまうことになり、鑑賞に堪えない写真しか残っていないという最悪の状態になってしまう可能性があります。

写真の原則は「ブレていない」ことであり、これを犠牲にしてまでノイズを気にする必要はありません。特にSNSなどで投稿するのがメインの場合、小さい画面で見るとノイズが目立たなくなることも多々あります。

最近のカメラは高感度であってもあまりノイズが発生しないよう改良されてきていますので、シャッタースピードが稼げない場面では積極的にISO感度を上げて撮影してみましょう。「ISO オート」という、カメラ側でISO感度を自動調整する設定もありますので、カメラ任せにするのも一つの手です。

曇りの日のような薄暗いとき、また風が強く被写体ブレが発生しやすいときは躊躇なくISO感度を上げた方がよい写真になります。上の写真は曇&強風のためISO「1000」、シャッタースピード「1/2500秒」で撮影しています。品種名「ザフェアリー」。
夜の撮影を手持ちで行うならISO感度は必ず上げましょう。ISO感度を上げてシャッタースピードを稼がないと容易に手ブレ、被写体ブレします。ISO「5000」、シャッタースピード「1/25秒」で撮影。

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