惹かれる、ということ

秋もいよいよ深まってまいりました。紅葉が見頃の地域も多いことでしょう。

ばらも四季咲きの品種は霜が降りるまで、良い花を咲かせてくれます。
今回は好きな品種のことなどを少々、綴ってみたく思います。

ばらに生業として関わるような人は、たいていすべてのばらを愛しているものです。それでも人により「特に惹かれる品種」が存在していることもまた、事実です。

私の場合はHT種の「ドレスデン」という品種です。花弁が多くて咲ききれないこともあるのですが、真珠のような美しい色彩と高い芳香が素晴らしい品種です。深い緑の葉との調和がよくて、ドイツの美しい都市の名にふさわしいばらと思えます。

●ドレスデン – Dresden
https://himenobaraen.jp/rose/hybrid_tea/dresden.html

前代表であり、ばらの師匠でもある村田晴夫もさまざまなばらを愛していましたが、そのうちのひとつがHT種の「ジョセフィン・ブルース」です。本人が残してくれたコメントがありますので、ご紹介させていただきます。

「ベルベット光沢を持つ黒バラである。最愛の黒バラと惚れ込む人もいる程の美麗花である。半剣弁盃状咲で花は非対称で花芯を中心に花弁の拡がりは不規則である。これは極端な横張り性の樹形から来ている。強く香るダマスク香も人の心を鷲掴みにする魔力を持つ。無論村田最愛のバラの一つである。(浮気性は幾歳になっても止みませぬな)。皆美しすぎるのです。バラの数だけ夢を見ていたいものである。」

ジョセフィン・ブルース
▲ジョセフィン・ブルース

私はまだこの品種を十分に作り込めているとは申せませんので、今年は大鉢に仕立ててみて、その魅力をもっと追求してみたいと考えております。他の人の惹かれる入り口に興味を持つことは、自分の世界を広げてくれることにもつながり、また違った楽しみがありますね。

惹かれる人
惹かれる仕事
惹かれる場所…

「惹かれる」という心の動きには、私達が忘れてしまっている、だけど本来は失われていない魂の目的を、思い出すためのヒントが詰まっていると感じます。その人がその人らしく、いちばん輝ける人生の舞台を、「惹かれる」気持ちが教えてくれている、そんな気がしてなりません。

また、今はもう会えないけれど、大切だった人の「好きだったもの」「好きだったこと」なども、その後を歩んでいる私たちに、大きな希望と勇気を送ってくれるものだと思います。

明るくなれない日も、元気になれない日もある私達ですが、そっと示されたその温かさをたよりにより深くすべてを味わうことが出来たなら、素敵なことだと思います。

「惹かれる」気持ちは私達が希望を失わずに歩いて行けるように、また天から託された使命を果たせるように、人々の心にそなわった道標、守護の力なのだと感じております。