つる クリムソン グローリー – 名花クリムソングローリーの枝変わりつる性種
本日ご紹介する品種は、HT種の名花のつる性枝変わり「つる クリムソン グローリー」です。
ハイブリットティー種の中で、ビロード調の深紅色を初めて体現した歴史的名花「クリムソン グローリー」、その枝変わり種が「つる クリムソン グローリー」です。Jackson & Perkinsによって1946年に発表されました。
ばらは元々「つる性」の遺伝子が優勢で「四季咲き」という遺伝子が劣勢と言われています。そのため、何かの拍子で四季咲き品種がつる化することがあります。つる性化したものは四季咲き時の花と葉の特徴をそのまま残しています。
「つる クリムソン グローリー」も同様、四季咲き時の花の魅力がそのまま残っていますが、樹勢が強くなったせいでしょうか、四季咲き種より退色しにくく、弁質も良いように思われます。ビロード調の深紅色の花からは濃厚なモダンダマスクの香りが漂い、満開時の芳香は周囲を圧倒します。つる性としての品種固定はうまくされたようで、四季咲きに戻ることはほとんどありません。
花は10㎝以上ある大輪花、その割には花付きは良く返り咲きもあります。伸長力は非常に旺盛で、四季咲き性種が栽培されなくなってからも長く愛培されています。
トゲは多め、枝も固くなるので植栽場所は壁面など広い場所に限られます。枝数は増えやすい方なので、伸びることを前提に植栽場所を決め、誘引してみるとよいでしょう。大輪花なので冬の剪定は少し深めに、またこの品種に限りませんが細い脇枝は母枝から2~3芽のところで切りそろえますと、不要なモシャモシャ感もなくすっきりと美しい姿で春の開花を楽しめます。
ちなみに四季咲き性品種の方は生育が緩慢ではあるものの花つきが大変良く、時間をかければ低めにまとまる、良い株立ちの樹に成長します。花首がうつむく姿は作出当時こそ欠点とされましたが、今見るとかえって雅やかな趣で、草花とも調和しやすいように思われます。赤ばら史上忘れることのできないこの名花を今一度、楽しんでみるのもいかがかと思われます。