園主の小部屋

祖父の思い出

祖父の思い出

暑さが続いておりますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

再びお盆がめぐってまいりました。お盆中もお仕事の方もいらっしゃると思います。(私たちもそうです!)
故人の魂がこの世に近くなるといわれ、亡くなられた方々を偲ぶ時期でもありますね。

今回は、私の母方の祖父の思い出を綴らせていただきました。もしよろしければお付き合頂けましたら幸いです。

母方の祖父は、長い間経営者を務めた人でした。
私よりももっとずっと規模の大きな会社で、関西の繊維関係の会社を経営していました。定年退職後、さらに裁判所からの依頼で同じ業種の他の会社の管財人となり、後にその会社の社長、さらには会長となり80歳まで現役で仕事をしていました。

そのため祖父の家に遊びに行くと、「おじいちゃんは今日もお仕事に行ってるの。」と不在であることがほとんどでした。それでも夕方帰ってくると「やあ、いらっしゃい」といつも大きな声で歓迎してくれましたが、当時の私は幼くて、到底祖父と話を合わせることができませんでした。山登りが好きで、また大変な読書家でもあり、遊びに行ったときは書斎の本を読ませてもらうのが楽しみでもありました。

代表という立場になってはじめて、祖父の背負っていたのもがどのようなものであったか、わずかながらわかる気がしました。とくに二つ目の会社は一度経営破綻してしまった会社です。

再建には言葉にできない苦労があったのではないかと思います。生きていればいろいろアドヴァイスもくれたかもしれません。私が代表という立場に立ったことに驚きながらも、天国から応援してくれているように思います。

立派なキャリアを築いた祖父でしたが、好きな言葉のひとつが「明日を思い煩うことなかれ。」であったそうです。

あ~、なんか分かるなあ、と思いました。将来への不安は誰しも抱くものですが、とくに経営する立場になるといつもその不安とのつきあいのようになってしまい、思い悩むことばかりに無駄に時間を使っていたような気がします。

でもだんだんとそれにも疲れ、不安でもなんでも、まずは実行してみるしかないと開き直りはじめたころに、「明日を思い煩うことなかれ」と聞き、より深く納得できた次第です。

思えば子どものころはあんなに無邪気に今この瞬間に集中できていたのに、大人になるととても難しい。本当は誰もが今しか生きられないことを知っているのに、ついまだ起こってもいない出来事で、心を煩わせてしまいます。大人としての思慮も身につけながら、なおかつ子どものような純真さを保つというのは人生の一つの挑戦でもあるのでしょう。

可能な限りの良い種をまいて、いつの間にかあらっ、綺麗な花が咲いている!と思えるように、今を生きることができればと思います。先に天に帰られた方々を偲びつつ、「明日を思い煩うことなかれ」を真の意味で積極的に受け止め、今いちど日々の在り方を見つめなおす機会にしたいと思っています。

蓮の花

▲農場近くで咲く蓮の花。蓮の花の美しさはまさにこの世のものとは思えないほど。本当に神様の世界を体現したようなお花ですね。この時期の楽しみです。

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