謹賀新年

あけましておめでとうございます。

素晴らしい一年のはじまりをお迎えできましたこと、その限りない恵みに感謝しております。
心新たにより多くのばらと、ばらを愛する方々と共に歩んでまいります。

本年もどうぞ、よろしくお願い申し上げます。

福寿草

2016年もありがとうございました。

2016年も残すところ、いよいよあとわずかとなりました。

一生の思い出となるような、素晴らしい体験をなさった方も、逆にありえないと思えるほどの悲しみやショックに襲われた方も、本当に、さまざまでいらっしゃるかと思います。
私共にとってもやはり、大小さまざまな変化がございました。

変化は常に不安を伴うものですし、握りしめていたものを手放すことにも、大きな勇気が必要となります。あまりにも疲れすぎたり、悲しすぎたり、許せなかったり…越えてゆこうという気持ちすら湧いてこない現実が、実際に存在しております。

そのようなとき、花は本当に強いものだなと思います。
根をおろしたその場所で、全力で咲くことのみに集中する花たち。
花のようにただ生きることが、人間に可能なのでしょうか。

人間は優れた思考力を持つがゆえに、かえっていろいろな心配をしてしまいますし、ことはそんなに単純ではないとも思ってしまいます。それでも、私達の本当に純粋な部分、魂の願いともいえる部分は、花のようにただ生きることを望んでいるように思います。それぞれの表現で、それぞれの日常で、愛すること学ぶ私達であるように…。

年の瀬そして年明けという重要な節目の時期に、今一度お世話になったこと、やり残してしまったこと、これから成し遂げたいことなどに思いを馳せて、まっさらな気持ちで新年を迎えたく思います。皆様からのこの一年のご厚情、ご愛顧、さまざまなお心遣いすべてに、心より深く感謝申し上げ、素晴らしい年の幕開けとなりますことを祈念いたします。

トレジャー・トローブの冬景色
▲トレジャー・トローブ

よみがえる命

ばらの鉢苗の根をチェックしていたときのことです。
「あっ」と思わず息が詰まりました。
鉢土の中で大きなトノサマガエルが冬眠に入ったばかりでした。

(画像は省略させていただきます…。)

うーん、でもなぜわざわざ鉢土の中に?確かに2年生苗は常に新しい土で植え付けられますので一番肥沃な土壌であることは確かですが…。
しかも他のカエルではこのようなことはなく、必ずトノサマガエルなのです。私達の農場では、植え付けはかなり固めに行いますし、体の大きなトノサマガエルがどうやって冬眠のために鉢の中に潜り込むのか、とても不思議です。

しかし、これは久しぶりの出来事でした。かつて当農場には本当にたくさんのカエルが住んでいたのに、ここ数年はその姿を見かけることが、とても少なくなっていたからです。特にトノサマガエルはその傾向が顕著であったと思います。しかし昨年あたりから徐々に増え、鳴き声も聞かれはじめ、数年ぶりに冬眠中の出会いも訪れました。見つけたときはとてもびっくりしてしまいますが、少しずつ生息数が回復しているのかなと思いますと嬉しさがこみ上げます。

両生類は全体的に減少していて、そうなると特定の虫だけが大量発生して作物にも被害が及ぶなど私達への影響も消して少なくはないとのこと。はるかな昔、豊葦原の瑞穂の国と謳われた美しい風景が少しでも多く残せますように、敬意をもって命の輝きを見つめてまいりたいと思います。

長野県須坂市の菊花展にて。

とても美しい、芸術的な菊の花を鑑賞させていただきました。ひとつの株からこのように同じ大きさの花が、ほぼ同時に咲く不思議…栽培される方の丹精に圧倒されます。

こちらは農場近くの天神様のお社にて。天神様といえば梅の花ですが、菊も素敵です。晩秋の、お花が少ない時期に凛とした花を咲かせる菊は、まさに神様のご神気そのものという気が致します。

ラベンダーピノキオ – 波打つ花容と独特の色調が魅力

ラベンダー ピノキオ - Lavender Pinocchio

ラベンダー ピノキオ – Lavender Pinocchio の詳細ページ

2年生苗でのおすすめとなりますが、今年は例年以上によく育ちましたのでご紹介させていただきました。
※2016年10月現在の在庫です。

丈夫な品種の多いフロリバンダ種の中では正直なところ、もっとも作りにくい部類ではないかと思います。細く華奢な枝は増えにくく、しかも偏った方向に伸びます。横張り気味に散開する樹形はまとまりがあるとはいいがたいでしょう。それでもこの品種が完全に消え去ることなく現在も少ないながら生産され続けているのは、やはりその花容と色調が他に類を見ない、特別なものであるからだと思います。

紫の色調は少し茶色味を含み、弁端がきれいに波打つといっそう美しくみえます。黄色の大きなおしべがよく目立ち、まさに芸術品のような趣です。小柄な樹形に大きな房咲きのアンバランスさがまたよいのかもしれません。

美しい色調とやや脆弱ともいえる樹勢はともに親品種のグレイ・パールの影響を強く感じます。このような品種は時間をかけて枝数を増やしてゆく必要があり、高温多湿にも注意が必要です。しかも枝も枯れ込みやすく、何だか心が折れそうです。

それでもいつかは大株になり、樹形が整わないながらもたくさんの花をふんわりと咲かせる姿はこれまでの苦労も吹き飛ぶほどで、改めてこの品種の底知れぬ魅力に驚嘆せずにはいられません。

小さな いのち

各地で梅雨明けの発表がされ、暑さも本格的になってまいりました。

ばらたちは意外に暑さに強いですが、水を好む植物ですので、猛暑が続くときは地植えであっても灌水が欲しいところです。また、肥料の分解も早くなりますので、順調に根の張っている苗でしたら、こまめな施肥があると尚良いでしょう。(夏場は肥料を与えてはいけないと思われている方もいらっしゃいますが、適量であれば問題はありません。)

6月下旬から7月にかけて、私の自宅付近や農場ではホタルやオオムラサキなど、この季節にしか見られない、小さな美しい生き物を見ることができます。
オオムラサキの雄はとても美しく、飛翔が早く「あっ」と思う頃にはもう飛び去っていってしまいます。あまり羽をパタパタさせず、とても優雅に、なめらかに滑空します。1年だけの命を懸命に輝かせ、産卵が終わる8月には力尽きてしまいます。

ホタルは、以前は農場付近でももっとたくさん見られたのですが、最近は本当に少なくなってしまいました。闇夜に浮かぶ輝きはやはり幻想的で、毎年見ていても飽きることがありません。巣立ったばかりのモズやコムクドリのヒナたちも、まだ家族で暮らしていることが多くとても賑やかです。

ばらの育苗作業では消毒がかかせません。それでもいろいろな生き物たちが、少なくなってしまったとはいえ、懸命に命をつないでいる様子を目の当たりにしますと、ただ愛おしさがつのります。
ばらの中でも一部の原種やハマナスの仲間には、消毒なしでも成長できる品種がありますから、そのような品種たちに活躍してもらって、多くの生き物が集う植栽ができればまた楽しいことだろうと夢見ております。

一方で2年生苗たちも順調に育っております。暑い中での作業はいろいろな面でこたえますが、丹精込めて仕立てる楽しさもまた、ばらづくりの喜びと思えます。

ニッコウキスゲ
▲霧ヶ峰 ニッコウキスゲ群生地

ニッコウキスゲと野鳥
▲ニッコウキスゲ と ホオアカ(鳥)

すごく久しぶりに霧ヶ峰高原まで足を伸ばしました。当農場から車で約1時間です。昔はもっと群生していて、まさに黄色の絨毯のようであったとか。私がかつて訪ねたとき(15年ほど前)もまだ、その面影は残っていました。その後鹿の食害、盗掘などによりとても減ってしまったニッコウキスゲ。電気柵はものものしいですが、地元や有志の方々の懸命の努力により、植生の回復が試みられています。

初期HTながらバランスのとれた白花 – 「マダム ジュール ブーシェ」

マダム ジュール ブーシェ - Mme.Jules Bouché

久しぶりの投稿となります。ブログが放置状態となり申し訳ございません。

梅雨の時期になり、業務も少し落ち着いてきました。
これからは秋に向けて苗の育成に入りますが、ご注文は常にお受けしております。気になる品種などありましたら、お気軽にお問い合わせください。

こちらのブログでは品種のご紹介を再開いたします。

今回ご紹介する品種は白のハイブリッドティー「マダム ジュール ブーシェ」です。

マダム ジュール ブーシェ – Mme.Jules Bouché

作出年は「1910年」と古い品種ながらも洗練された白の名花です。

交配は「Pharisäer × 実生」。「Pharisäer」 は 「Mrs. W.J. Grant」の実生品種で、さらに親品種を辿ると「La France(ラ・フランス)」にたどり着きます。ラ・フランスがいかに歴史的な品種であったかがわかります。

蕾の状態では赤みがありますが、開花して咲き進むに従って白くなっていきます。株立がよく、半直立上にきれいにまとまってくれます。新しい枝は赤みがありますが、少し黒味がある特徴的な枝で、それとは対照的に濃緑色の明るい葉があり、白い花をより一層引き立ててくれます。トゲはありますが、他の品種と比べると少ないほうかと思います。

香りはさわやなかティー香があります。花付きが大変よい点も評価ポイントです。

ハイブリッドティー初期の品種ながらも端正な花型と、清楚な白の花が魅力の品種です。株立の良さを含むバランスの良さは現代バラにも負けず劣らずの優秀な品種で、1910年作出とは思えない完成度の高さです。初期ハイブリッドティーの特徴である繊細な花弁は、しっかりした厚い弁では表現できない趣を持っています。花壇用品種として、白のハイブリッドティー「ホワイト クリスマス」などと一緒にオススメしたい品種です。

花付き香り共に良い、貴重な初期HTの赤バラ – 「ハドレー」

ハドレー – Hadley

関東地方では春一番が吹いたようですね。
これからどんどん暖かくなってくれると嬉しいです。

さて、今回は「ハドレー」という品種をご紹介いたします。

ハドレー – Hadley

作出年は「1914年」、アメリカの「Alexander Montgomery」という人が発表しています。

非常に古いハイブリットティーローズですが、それもそのはず、「ハドレー」はハイブリットティーローズ初の赤バラと言われている「リバティ」という品種の子供だからです。「ハドレー」はバラの歴史上重要な品種の1つで、現在はとても希少な品種となっています。

「ハドレー」はのちに「エトワール ド オーランド」を生み出し、さらに戦前を代表する赤バラ「クリストファー ストーン」を誕生させます。赤バラの遺伝子は脈々と受け継がれています。

「ハドレー」についてですが、実際はローズ色を含む赤色の花です。古いハイブリットティーローズのため、細枝性で枝の分岐も比較的多く、よく茂るのが特徴です。また、花付きが大変良く房咲きになり、ハイブリットティーの中では比較的小ぶりな花を沢山かせます。香りは濃厚なフルーツ香があります。

イメージとしては、ハイブリットティーよりも大型のチャイナローズの趣があります。
細い枝が風に揺れながら、甘い豊かな香りを運んできてくれます。

古い品種なので、どうしても黒星病、特にうどん粉病に対しての耐性がなく薬剤での予防は不可欠なのですが、現代バラの礎となってくれた貴重な品種です。がっしりとした樹ではなくあくまで繊細な枝ぶりも情緒ある姿かと思います。

株立ちもよくまとまってくれるので、1つ歴史的な花を入れてみたいという方はおすすめの品種です。

早咲きのつる性庚申バラ、花付き良い白色花 – 「ロサ キネンシス アルバ」

ロサ キネンシス アルバ – Rosa chinensis alba

春まだ浅き日々が続く毎日ですが、いかがお過ごしでしょうか。

しばらく更新が止まってしまい申し訳ございません。
現在、春の新苗に向けて接ぎ木作業を行っております。大苗、長尺苗の在庫は少なくなっておりますが、その場合は新苗のご予約でしたらお受け可能です。今年も当園自慢の古い品種たちを皆様にお届けできるよう、頑張ってまいります。

さて、久しぶりの品種紹介となります。今回は「ロサ キネンシス アルバ」をご紹介いたします。

ロサ キネンシス アルバ – Rosa chinensis alba

別名は「白長春(しろちょうしゅん)」。長春花(ちょうしゅんか)は庚申バラ(ロサ・キネンシス)のことで、「白長春」はそれら庚申バラの白花バージョンという意味です。実際は咲き始め弁端に淡いピンク色がかかります。蕾の状態では少し紅が差していて、花や葉との対比が美しい品種です。

通常のつる性庚申バラと同様、早咲きで平地では4月中頃から開花が見られることもあります。完全なつる性で、通常のロサ・キネンシスと異なるところは花が大きいこと、花弁が多いこと、そして「一季咲き」である点です。

花付きは大変良く、ステムが短めなのでご家庭用の白つるばらとして多くの場面で活躍できます。ほのかにキネンシスの甘い香りもあります。トゲは少なく、少し野性味がある枝ぶりですが比較的素直で扱いづらいこともないため、壁面やトンネルなどへ便利にお使いいただけます。伸長力は3m以上、よく伸びるので単体のアーチでは演出が難しいかもしれません。大きい構造物のメインとして扱うとよいでしょう。

比較的病気耐性はあるほうですが、うどんこ病には注意が必要です。風通しのよい場所へ植栽しましょう。

早咲きであること、そしてステムが短めという長所があるので演出効果が得られやすい品種です。葉の茂りや花付きも問題ないので、春をいち早く彩って欲しい場所にはうってつけの品種かと思います。あまり表立って紹介はされませんが、白つるバラとしてはとても優秀な品種なので、庭園素材の1つとして候補に入れていただけましたら幸いです。

小スペース向きの半つる性 – 「コンテス セシル ド シャブリラン」

コンテス セシル ド シャブリラン – Comtesse Cecile de Chabrillant

来年に向けて接ぎ木作業を始めました。これから年に一度の生産時期です。

本日はハイブリッドパーペチュアルローズの「コンテス・セシル・ド・シャブリラン」(セシル・ド・シャブリラン伯爵夫人)をご紹介させていただきます。

コンテス セシル ド シャブリラン – Comtesse Cecile de Chabrillant

ころんと丸い、ディープカップの美しい花といえば「ラ・レーヌ・ヴィクトリア」がとても有名で、それに比べると控えめな存在という感が否めません。しかしとても愛らしさに満ちた捨てがたい品種なのです。
「ラ・レーヌ・ヴィクトリア」がつる状に、かなり長く枝を伸ばすのに対して「コンテス・セシル・ド・シャブリラン」は株元から多くの枝を発生させる自立型の株立ちとなり、枝の伸びも2mくらいまでです。

花付きがとても良くてあまり誘引できなくても咲き、(もちろん誘引するとさらに咲き、)独特の甘い香りも魅力的です。弁質も比較的良くて、雨に負けず多くの花を楽しませてくれます。春の開花後、夏までにもう一度開花します。

良好な花付きを生かしてアーチ仕立てやトレリス、窓辺のアクセントなど、小スペース向きの半つる性ばらといえます。2年生長尺苗の在庫が若干数ですが、ございますのでもしこの品種が気になっている方がいらっしゃいましたら是非。

直線的な枝ぶりなので枝の使いこなしはやや上級向きと思え、ラ・レーヌヴィクトリアのようにつるばらとしてメインを張れるわけではありません。また、この系統の宿命ともいえますが、うどんこ病や黒星病にはやはり注意が必要です。

株が充実して枝一面にびっしりと花を咲かせた様子は本当に見事で胸に響くものです。
丸い花たちが楽しく華やかなメロディーを奏でてくれているような、そんな気持ちにさせてくれる、優しさと明るさにあふれた品種です。

シックな絞りの花、トゲの少ない枝も嬉しい – 「オノリーヌ ド ブラバン」

オノリーヌ ド ブラバン – Honorine de Brabant

水たまりも氷が張っています。本格的に冬が来ます。

本日ご紹介する品種はブルボン・ローズ「オノリーヌ ド ブラバン」です。

オノリーヌ ド ブラバン – Honorine de Brabant

「コマンダン ボールペール」の枝変わり、と記述されているものもありますが、枝葉の特徴が違いすぎるので恐らく間違いかと考えています。可能性があるのならば「コマンダン ボールペール」と何かの交配種と考えるのが自然ですが、アメリカバラ協会・国際バラ品種登録局が発行している「Modern Roses Ⅺ」でも交配に関する記述はないので当園では「作出者、交配に関しては不明」とさせていただいております。

「オノリーヌ ド ブラバン」の特徴は人目を引く絞りの花です。白地に灰色味をおびた赤紫色のストライプが入ります。葉も明るい緑色の葉でよく茂り、爽やかな印象の中にシックな花色が共演しています。甘いキネンシス系の香りもあります。

他に絞りが入る品種として同系統に「コマンダン ボールペール」と「バリエガタ ディ ボローニャ」があります。特に「バリエガタ ディ ボローニャ」は有名です。「オノリーヌ ド ブラバン」はこれら品種と比べた時、トゲが少ないという点が有利です。すらりとした枝にはトゲが少なく、誘引作業も容易で扱いやすいのが利点です。「バリエガタ ディ ボローニャでは少しトゲが多いかな」と考えている方は、「オノリーヌ ド ブラバン」が大変おすすめです。

「バリエガタ ディ ボローニャ」は一季咲きですから、返り咲きが欲しい場合は「オノリーヌ ド ブラバン」を選んでみるのもよいでしょう。ただ、「オノリーヌ ド ブラバン」の返り咲きは夏頃までで、秋にはあまり開花しないのでご注意ください。返り咲きが少ない分、枝の節が少なく曲げやすくなっているので、返り咲きが少ないというのも強ちデメリットというわけではありません。

若干自立型の株立ちとなりますので壁面や窓まわり、ガゼボ等、ある程度上方向に枝が伸ばせる場所へ植栽します。ステムの長さも程よく、花付きも良い。絞りの花が個性的な美しさを演出してくれるでしょう。